どんな人生にも雨の日はある。

登山初心者の山歩きの記録と日常。行ける山から少しずつ。

北横岳(久々のリハビリ登山)→稲子湯

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 6/24水曜日。やっと越境できるようになったので、喜び勇んで長野の八ヶ岳北部にある北横岳へ行って来ました。ここは2年ほど前のGWに一度来たことがありますが、その時はまだ残雪で、北横岳ヒュッテから上は雪道を踏み抜きながら歩いた覚えがあります。新緑の時期は歩いた事ないのと、今年は1月以降、コロナ禍でまったく山歩きしてないのでなまった脚のリハビリも兼ねて、距離は短いがそれなりの起伏があり、岩交じりの登山道を短時間だけどぐいっと登るタイプの山にしました。

 おはよーございます、只今朝の7:30、曇り空でガスった八ヶ岳の朝です。実は前日、火曜の夜に自宅から移動して、一夜をこの北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅の駐車場で車中泊しました。

火曜日はふつーに仕事して20:00に自宅帰宅。風呂に入り、スッピンに髪だけ乾かして整えて、荷物を準備し、洗濯して干して、22:00には自宅出発。時間が遅いのでなか卯でかるーく冷やしすだちうどんなんか晩ご飯に食べて、そのまま東松山から関越へ。佐久南から中部横断道松原湖近くまで出て、そこから299号メルヘン街道へ。途中でヴィーナス街道へ入り、北八ヶ岳ロープウェイ駐車場には深夜2:20頃に到着。平日のそんな時間でもちらほらと、5~6台は車中泊居たかな。

北横岳をリハビリ登山に選んだのは、コロナ禍の自粛期間中に揃えた車中泊グッズを実際に車中泊して試してみたいためでもあります。で、いきなり深山の登山口で車中泊は、周りが真っ暗すぎて寝る準備が大変だし怖いし、トイレがないと困るし、できれば水洗トイレで24時間使えて綺麗で明かりが付いているところ、洗面台があって洗顔や歯磨きもできるところが好ましいということで、ここか、白駒池かと絞り、白駒池は有料だけどこちらは無料だし、建物の常夜灯など付いているから少しは明るいだろうと北八ヶ岳ロープウェイ駅選択。

実際、トイレは綺麗で水洗で24時間使用可能、トイレの明かりもずっと付いているし、自販機や建物内の常夜灯ですこしは明かりがあるので、安心して車中泊できました。人は回りに人工物が何もない場所だと、慣れてないとなかなか安心して寝れないもんです。

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 車はホンダのSUVヴェゼルです。前席を一番前まで出して背もたれを前屈させ、後ろ座席を畳むとかなりフラットなスペースができます。そこにセミダブルサイズのエアベッドを持ち込み、薄い羽毛布団で車中泊。枕は翌日登山後に入る予定のお風呂セットの着替えやバスタオルを入れた袋で。枕がなくても、すこし頭のほうが持ち上がる形になるので全然大丈夫です。ヴェゼルはフィットベースの車だからフィットでも可能だと思います。寝るときはズボンだけ部屋着に履き替え、あとは登山の格好のままで。長袖のジオライン一枚でちょうど良かったです。

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深夜の真っ暗な駐車場で車中泊車内は写真撮れなかったし、朝はトイレ行ってる間に片付けられていたので、こんな感じで寝たと、以前、自宅で試した時の写真を乗せておきます。私が身長165cm、主人が170cmですが二人並んで寝てちょうど良いスペースでした。横幅は互いに寝返り打てるくらい、長さは足先を伸ばせば荷室のハッチに足の裏が届くか?ってくらいで。とても快適に安眠できました。今までも時々、登山口で座席倒して仮眠はしてたけど、やはり横になって寝ると違うね。

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6/24の天気予報は曇り時々晴れ。朝はガスガスで、雲が上がってくるとガスって真っ白、雲が抜けると薄日が射したり青空見えたりの天気。寝てる時は深夜にけっこう強めに雨が降ったりしてて、最悪、車中泊だけして帰るかwと相談してたけど、地面も乾いてきたし雨は降ってないし、せっかくだから歩こうよ、と。 

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 うーーん、ロープウェイの先もガスで見えん、これは今日は展望は見込めそうもにないなー、まあ、リハビリ登山だし、いいか。

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平日の始発は8:40。8:20からチケット販売が始まります。往復一名2100円でけして安くはないけれど、そこはそれ、ほら、給付金というあぶく銭が(笑)。そして、先着50名までチケット売り場にてひとりひとつ、名物コケモモ大福とコケモモロールケーキのサービスが!これは嬉しい、途中で食べよう。私はコケモモ大福、オットはロールケーキをもらいました。あとで大福は一個200円、ロールケーキは300円と知り、実質ロープウェイ代金ふたり分4200円から500円の値引きだねと。

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コロナ対策でロープウェイ内や建物内ではマスク必需です。マスク装着で7分の空中散歩を楽しみ、山頂駅へ到着。まあ、予想はしてたけど山頂駅出るとこの白さ(笑)。

そして、やはりこの時間のロープウェイ乗る人々は皆観光ではなくガチ登山装備の方々ばかりで、三々五々に山頂駅から消えていきました。北横岳から大岳、双子池経由で雨池、雨池峠から山頂駅まで、健脚なら周遊できるコースがたくさんあるのがこのエリアだもんなー。我々は健脚とはほど遠い位置にあるガラスの膝持ち、ゆっくりとリハビリ歩きしていきましょう。

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 坪庭のシンボル、キツツキのあたり。うーん、ガスガス。キツツキの紐を引くと木をつつきますが、曇天でやってもあまり楽しくない。

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 木道をすこし歩くと、坪庭に上る階段が。坪庭は大昔の噴火による溶岩台地なので、盛り上がっているのです。

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 ガスガスで霧雨でも、こういう時は植物が生き生きしています。2100mの高山、あちこちに高山植物が。これは水滴が美しいクロマメノキ。秋にブルーベリーのような青黒い実がなります。味もブルーベリーのようで、アサマブドウとも呼ばれるとか。

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 ピンク色のコイワカガミがあちこちにたくさん咲いていました。ちょうどコイワカガミの満開時期だったようで、足元のピンク色になごみました。

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 大昔の北横岳の噴火で堆積した溶岩台地が坪庭。あちこちに噴石の小山があります。その隙間に苔や潅木が生え、高山植物が咲きます。中をグルリと一周する遊歩道が整えられていて、観光客も歩けるところです。一番近い景観としては、軽井沢の鬼押し出し園かな。

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 そんな溶岩台地だからガスが上がって白く霞むと荒涼とした風景に。これはこれでワビサビ的な感じもする。

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 10分ほどで坪庭遊歩道から北横岳へ向かう登山道分岐に。遊歩道から左折して登山道へ入ります。遊歩道はごろごろした岩の間をコンクリで埋めて、多少歩きやすいように整えてありますが、この先にはそんな親切はありません。ごろごろした溶岩の上を歩きます。この、北横岳に取り付くまでの坪庭から下る岩道、石のサイズがちょうど嫌なサイズで歩きにくいです。岩として踏むには小さく、小石として踏むには大きい、そんな嫌なサイズで、しかも動く。

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 長野県のここから先は登山道だぞ、の警告看板。以前来た時も、残雪の雪道なのにデッキシューズでデート着、ザックも無い若いカップルが北横岳ヒュッテ前にいて、危ないなあー、雪道な上、ところどころ圧雪で凍った岩道だぞ、滑ったら……と思った覚えがあります。――若さゆえのあやまちか。

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 坪庭から降りて、橋を渡ると北横岳への取り付き。ここからはこのような岩道をがっつり200m登ります。だけど、これくらいのサイズの岩のほうが、岩は動かないし、岩のの頭を踏んでぽんぽん歩けるので、高山で息が上がるのと脚が疲れてくるのをどうにかうまくコントロール出来ればラクに登れたりする。

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 坪庭分岐からの標準コースタイムは60分ですが、久々の山歩き、あとで筋肉痛やら膝痛やらの痛い目を見ないように、ひたすらゆっくり、休み休み登りました。やっと三ツ岳との分岐に到着。分岐を左に進みます。ここからは北横ヒュッテまで後10分くらい。

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 分岐を右に行くと三ツ岳ですが、右の道はいきなりこの岩。三ツ岳は岩峰なので岩を越えていく険しい登山道になります。わたしゃ無理だな。

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 三ツ岳との分岐の岩場に咲いてたコイワカガミの群生。よく見るとゴゼンタチバナの葉も見えます。

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 雨や霧に濡れた花も、しっとりしてそれはそれで綺麗。コイワカガミの花は下を向いて咲くし、なんかピンク色のほうきみたいだなーと毎回思う。

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小さな 白い花がたくさん咲いていたので見てみたら、ミツバオウレンの群生でした。コイワカガミのピンクとミツバオウレンの白がとても綺麗でした。北横岳ヒュッテへつづく道でミツバオウレンの群生もたくさん見ました。

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 山頂直下の北横岳ヒュッテに到着。ここは通年営業の山小屋ではなく、宿泊予約のあるときしか開けないタイプの山小屋です。ただし、有料ですがトイレはあるし、ベンチも使えるので北横岳登山の休憩ポイントです。

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 ヒュッテの玄関の真ん前から下に降りる道があり、その先は七ツ池という小さな池がいくつもあるそうで。前回来たときは残雪の量がすごくて降りて行けなかったので、今回は見に行こうと。現在、二ツ池まで行けると表記あり。

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 徒歩2分の表示。こんな鬱蒼とした樹林の中の道を降りていきます。2分の割には池が見えないし、ほんとにこの先にあるのか?

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 すぐに前方が明るくなり開けて、池が現れました。

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 あいにくの天気でしたが、晴れていれば水面に青空と新緑で素敵な場所だろうなー。紅葉の時期もすごく綺麗だそうで。

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さらに奥の二ツ池の湖畔。ヒュッテからこんなに近いのに、ここはわりといつも人の少ない静かな場所だそうです。ちなみに飲食禁止。静かで綺麗だからコーヒーでも、って気持ちはわかるけど、きれいな景観を守るためにガマンだな。

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北横岳ヒュッテまで戻り、山頂に向けて最後のひと登り。ここからコースタイムなら15分くらいで山頂ですが、最後にこの階段が立ちはだかります。わりかし1段1段は低めだからサクサク行けるけど、2500m近いので息があがりますし、いきなりこのビジュアル見た最初に登ったときは、この階段数に心折れそうになったw

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 七ツ池あたりから小雨が降ったりしてたから想像してたけど、やっぱりガスガスで、遮るものがないので風の強い山頂に到着。北横岳は南峰と北峰の双耳峰だけど、この天気、徒歩5分の北峰へ行っても何もみえんだろうと、すぐに退散しました。

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 天気が良ければ、南八ヶ岳がばーんと見える山頂も、このとーり真っ白。寒いし、展望ないし、早く降りよー。

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ちなみに、2018年5月の時の南峰山頂からの写真。すこし春霞で霞んでますが天気が良ければこの絶景です。

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 サクサクと北横岳ヒュッテまで降りてきて、ヒュッテ横のベンチで昼飯にします。山歩きのランチ定番はここのとこラーメンです。

夏は涼を求めて標高の高い山に行くので、山頂はけっこう寒かったりします。現にこの日も気温13℃くらいで、山頂は風が4m(登山道は樹林があるので風もなく快適に歩けますが)で寒い寒い。そんな冷えた体を温めるのにはラーメンがうってつけ。

ここしばらくはマルタイの棒ラーメンが定番です。棒タイプだからかさばらないし、意外にボリュームあるし。コンビニでゆで卵とチャーシューを買い、家にあった牛丼のテイクアウトの残りの紅しょうがを添えれば豚骨ラーメン出来上がりー。汁まで飲み干してポカポカ~。

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 ご飯を食べて片付けたらサクサク下山します。行きはのろのろと2時間くらいかけて登りましたが、帰りは早い早い。北横岳ヒュッテ前から40分ほどで坪庭分岐まで降りてきました。行きは写真とったり、上がる息を整えたりして登るからねー。帰りは一度通った道だから道を覚えてるのと、写真ほとんど撮らないからかな。

それでも、坪庭で見かけたこの白いコケが綺麗で撮影。周囲の溶岩の凹凸と、溶岩についた緑のコケとあいまって箱庭のよう。

このあと、13:20のロープウェイで下山し、オットのリクエストで稲子湯へ向かいます。

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 来た道メルヘン街道を1時間ほど戻り、松原湖方面へ向かう分岐を右へ。途中で稲子湯へと表記のあるところでまた右に曲がりしばらく行くと鄙びた宿が見えてきます。

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 稲子湯は北八ヶ岳のみどり池やしらびそ小屋方面へいく登山道の始点でもあるので、山小屋と旅館の中間みたいな感じです。バス停もあり、公共交通機関を使って来れる場所なので北八ヶ岳の登山基地的な場所です。映画、『岳』のロケ地にもなったんだとか。

秘湯ムード漂うこの旅館は立ち寄り湯もやっていて、一度来てみたいとは思ってました。立ち寄り湯650円。受付で支払い、民宿のようなムードただよう廊下を右手に行くと突き当たりが風呂場。内湯のみで露天はありません。

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 手早く支度して風呂場に入る。入浴してる人がだれもおらず風呂場独占ですが、この佇まい、渋い、渋すぎるぞ稲子湯……っ!

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 シャワーないもん。カランのみだもん。左が熱くて右が水、ちょうど良い温度に左右を混ぜて洗面器にお湯をためて使うタイプ。……なんだろう、このシステム、私、初めてじゃないぞ……。たぶん、小学生のころ、家族でいった函館あたりの銭湯がこんなんだったぞ……。その証拠に使い方わかったもん、すぐ。

そんな、記憶の彼方に沈む、幼い頃の懐かしい家族との想い出を掘り返してくる稲子湯、わりかし嫌いではないぞ、髪すすぐのがめんどくさいけど。

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 お湯は硫黄の炭酸泉と聞いてましたが、匂いは金気臭が強くて、鉄分の強い伊香保のお湯かと思いました。源泉は冷泉で加温してると聞いてましたが、入浴する人が少ないせいか、なにより熱くて。たぶん体感で45℃くらいある。47℃まではイってないハズ。(よく行く草津に時間湯という湯治方法があり、温度の違う湯船がいくつかあって、ぬるい湯から徐々に熱い湯まで入るんだけど、一番熱いのが47℃でさすがにそこには入れない。で、その下の45℃くらいまではいけるので体感45℃だと思う)

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 草津の源泉めぐりが好きで、熱い湯に慣れてるのでえいやっと入りましたが、肩までいれて20秒くらいしかもたんかった……。炭酸泉だからかお湯はシュワっとしていて、硫黄と鉄分の混じった匂いがして、上がったあとは体がサラサラする不思議なお湯でした。しかし熱すぎ。

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 で、お風呂から出て体を拭いてる時に、お風呂のガラスに貼ってあるこれを見る。なんだー、あの赤いコックで埋めてよかったんかーー。自慢じゃないが裸眼視力は0.2くらいだ、何か書いてるとは思ったけど、よくある入浴注意書きかと思って入るときスルーしちゃったよ。

後でオットに聞くと、オットはあらかじめどこそのブログなどで下調べしてきており(だからリクエストされた)、コックをひねって冷泉をたっぷり入れて適温に埋めたり、コックを閉めてまた熱くしたり、冷泉を飲泉したりして稲子湯を味わい尽くして満足気でした。くそー、予習して来なかったから普通に入浴しちゃったよ、。悔しいからもう一度、ちゃんと適温にして入浴してみたいです。

 

今回の登山は車中泊テストがかなり大きなウェイトを占めていました。7月に尾瀬の定宿、弥四郎小屋を予約してますが、今回は福島側から燧裏林道を歩いて行く予定でいます。福島側尾瀬の登山口のある檜枝岐村までは車で4時間以上かかるので、これは前日入りして車中泊したほうがいいだろうという判断で、その前に練習しておきたかったのです。今回は快適に過ごせて、運転手のオットも横になると良く眠れて短時間の睡眠でも翌日楽だということで良かったのですが、いくつか改善点も発見したので、そこを改善してより快適に車中泊しようと思ってます。

そして脚力リハビリ面では、コロナ自粛で3ヶ月ろくに歩けてなかったですが、そんなに脚力が落ちてはおらずホッとしました。今もハムストリングスとふくらはぎがすこし痛むくらい。背筋と臀部の上の方がすこし痛むのは久々にザックを背負ったからだろうなー。7月までにスクワットマジックで背筋と足を鍛えねば……っ!