どんな人生にも雨の日はある。

登山初心者の山歩きの記録と日常。行ける山から少しずつ。

初秋の尾瀬・山小屋グルメを食べる山旅

登山を初めて今年で10年ほどになりました。初めた頃は毎年のように訪れていた尾瀬。4~5回くらいは尾瀬の山小屋に宿泊してるから、だいたい5年は毎年行ってたかと思われ。ですがここ4年ほどは足が遠のいてました。

しかし、最近フォロワーさん達の尾瀬山行レポを拝見すると、なにやらワイン片手にめちゃお洒落なフレンチや、素敵なデザートを召し上がられてる……。

尾瀬に行く時の常宿は、見晴の弥四郎小屋が気に入ってまして、見晴泊時はいつもここでしたが、そういや弥四郎小屋の隣の山小屋、いつのまにか素敵テラス席ができて、よく賑わってるよなと気になっていました。その尾瀬小屋が、皆さんがレポでワイングラスを傾けているところで、めちゃお洒落なフレンチ料理の数々が食べられると知り、今回はそのフレンチを食べる目的で尾瀬入山しました。

テラス席で昼から飲むと決めていたので、晩ごはん無し、朝ごはんのみ付けて尾瀬小屋宿泊。良く晴れた尾瀬の昼下がりに、テラス席でフレンチ料理を楽しみました。

いや~、美味しかった!!山小屋とは思えない料理の数々に感動しきりです。きっとこの一皿には、見晴まで材料を荷揚げした歩荷の方々や、小屋番の方々の色々な努力が結晶されてる……そう思うと更に美味しい、珠玉の料理の数々でした。

また、今回は始めて大清水へ下山。これで鳩待峠、沼山峠、御池、大清水と、尾瀬入山口を4ヶ所制覇出来ました。

 


朝5時起床で6時出発。尾瀬戸倉に9時前に着いて、鳩待に9:30前に上がれました。

1週間前には曇/雨だった予報は好転し、広がる青空に気持ち上がります。そして、4年ぶりの鳩待には、見慣れないお洒落な建物が。

老朽化した鳩待山荘を星野リゾートが改修した噂を聞きましたが、これもそうなのかな。前は対面にあったシャトルバスチケット売場や、花豆アイス売り場や売店なんかが『鳩待ベース』というオシャンティーな登山基地になってました。

中にはmont-bellなどの登山用品や、虫避け日焼け止めなど登山小物も充実。お土産も揃ってました。尾瀬限定ボトルとかTシャツやタオルなど、欲しくなるものばかり。お値段は可愛くないモノもあったけど。尾瀬サコッシュとか、7700円は高過ぎて手が出ない。

鳩待ベース入り口にある、尾瀬のだいたいの見取り図。これも可愛くお洒落。やっぱり観光大企業絡むと違うなー。

以前、鳩待山荘があった場所には星野リゾートの山小屋ホテル『ルーシー』が。我々みたいに鳩待から入山し見晴泊する場合は使わないけど、この位置だと、至仏山やアヤメ平を歩くのには便利そう。

ルーシーというホテル名は、明治の頃に西洋人として初めて日本を北海道まで旅して『日本奥地紀行』を執筆した探検家イザベラ・ルーシー・バード女史のお名前からだそう。漫画の『不思議の国のバード』のあのお方かー。

さて、尾瀬に下ります。 下り始めて一番目の、いつもの沢を見るとほっとする。

この感じ、鳩待からの下りの尾瀬の道だよなー、うんうん♪

この沢も変わらない。変わらないことにほっとする。

毎回ここで涼しい流れに癒されます。

ふと見上げればナナカマドが色づいてきてる。

初秋だからまだ実はオレンジ。これからもっと真っ赤になるはず。

テンマ沢のあたり。いつも水芭蕉の大群生が見れるとこ。

今は水芭蕉の葉を押しのけて、秋の草花が占領中。

秋の花、トリカブトがあちこちに沢山かたまって咲いてました。

紫色で目に付くし綺麗ですが、花から葉から根まですべて毒。昔は附子と呼ばれてました。

この大岩を見ると山ノ鼻が近い。

この橋を渡ればすぐに山ノ鼻という認識です。

山ノ鼻到着。ビジターセンター前のテン場は熊対策で閉鎖中。至仏山荘前の休憩ベンチにザックを下ろし、まずはトイレと食べ物補給。

補給を済ませたら尾瀬ヶ原へ。上田代久しぶり~♪振り返ってみれば至仏山もくっきり。

足元には秋の草花、ワレモコウとウメバチソウ

前を見れば燧ヶ岳。うん、尾瀬の景色だわ。

やっぱり地糖は、空の青を映してこそ綺麗。今日は晴れてくれて良かった。

上田代の燧ヶ岳ビューポイントのひとつ。曲がって伸びる木道と地糖がいい感じ。

いいねー、尾瀬の秋の風景、金色になる湿原と、地糖のヒツジグサの紅葉、これこそ尾瀬の秋。

ヒツジグサも紅葉してるー♪蓮に似た白い小さな花もいいけど、紅葉したヒツジグサもなかなか良いと思う。

探さ燧ヶ岳ポイント。ちょっと風が強くて地糖への映りこみはいまいち見えず。でも、晴れて景色が良く見えるだけでもヨシとする。

中田代に入る川のあたりでは、ヤマドリゼンマイも赤くなって。

振り返ると、至仏は雲が出てきていた。予報では今日の夕方か夜から曇り。

だんだん、燧ヶ岳が近づいてくる。

春先に、水芭蕉の大群生が見れるのはこの奥あたり。尾瀬の観光パンフレットに載る、至仏山バックの水芭蕉の大群生の写真ね。

やっと竜宮小屋が見えてきた。あそこを越えると、見晴のある下田代。竜宮小屋前のベンチでおにぎり補給をして下田代へ進む。

下田代に入って割とすぐ、左手に見えるこの地平線が好き。下田代の湿原は割と乾いている印象。池塘も少なく、湿原というより草原イメージです。

見晴の山小屋達が見えてきた。下田代の木道はかなり痛んでいて、木道がえぐれて大変歩きにくくなっているため、木道架替え工事が進んでいました。

手前で二つに分かれる木道、なんかいい。

いつもなら弥四郎小屋へ向かうので右にまっすぐ行きますが、今日は尾瀬小屋のため左手へ。

今日の宿、尾瀬小屋に到着! ちなみにお部屋は203で、前を歩くオットの頭の左上あたり。売店の上です。

初めて泊まる尾瀬小屋。今日はよろしくお願いします。

さて、荷物を解いたら尾瀬小屋のテラスへ。天気も良くサイコー!

空いてるテラス席に座り、売店のカウンターで目的の料理を注文します。すると注文番号を書いた紙を渡され、料理が出来ると何番様~と呼びながら小屋番さんが席に食事を持ってきてくれます。飲み物は注文時に渡されるので先に席まで持ってきます。

今日の尾瀬は気温20℃無いんですが、日差しが差し込むと暑いくらい。お日様って偉大だわ。

まずは生ビール。ジョッキまで白く霜が降りた生を渇いた喉に流し込め!

売店はカード使用8000円から。ならば後から頼む予定のワインも先に頼めばいいじゃない、カード使えるじゃないとワインも先に頼むw

生ビール飲みながら見晴らしに歩いてくる登山者と至仏山を眺める、至高の時間よ。

尾瀬小屋で飲み喰いする時のために買ったハシビロコウサコッシュ、気に入ってる。こういう宿泊時に、財布とスマホとバッテリー持ち歩き用に。

メニュー吟味。まずは一番人気、ステーキ丼は必須。お腹空いてるからまずは炭水化物入れないと予算オーバーになるwww

山小屋一泊装備で9キロ歩いた後の牛肉は正義だわ。肉の焼き加減もミディアムレアでサイコー、オニオンが効いたタレもめちゃ旨い!!

オットがご飯ものだから、私はトリュフのニョッキなんかどうだろう?

トリュフが分厚い!濃厚なチーズ風味のクリームソースと、上に乗る削りたてトリュフの香りで、ひとくち頬張るとにやにや笑いが止まらないくらい美味しい♪

ニョッキもモチモチで食感もいいしー。分厚いトリュフは口に入れると飛ぶくらいいい香り~。もちろん白ワインで追いかけて、口に残るトリュフの香りを流し込むと天国が見える~。

小屋番さんが席まで食事を持ってきてくれるの、すごく贅沢だと思う。下界では当たり前でもここは山小屋。食事はセルフサービスか取りに行くものだから。

生サルシッチャ到着。これはビールだろうと夫が生ビールをもう一杯注文。茹でてから焼かれたサルシッチャはぶりぶりで、切ると脂が流れ出す。そこにレモンを絞り、ザワークラウトと粒マスタードを添えてパクり。うーん、たまらん、ビールでお口の中の美味しい脂を迎え撃つ!

甘鯛のウロコ焼き。 サルシッチャの盛り付けも綺麗でしたが、これは下界のレストランみたいな一皿出てきて更にびっくり。甘鯛、しっかり下味がついていて、添えられたバジルソースととんぶりがいい感じです。甘鯛の柔らかいウロコがサクサクで、ほわりとした白身にバジルソース。もちろん白ワインがいい仕事します♪

最後にデザート。 柚子ソルベのコンテチーズかけ900円。大きめグラスにたっぷり柚子ソルベ、そこにコンテチーズがごろごろ混じってる。

残っていた赤ワインでチーズを楽しみ、柚子ソルベでさっぱりするという、お口の永久機関が出来上がる。食べられるプチブルフラワー飾られて、見た目も素敵♪

贅沢な一品の数々に、昼からワインが止まらない。晴れた尾瀬ヶ原至仏山を眺めながら飲むワインと、山小屋の定義を超えた旨いご飯。こんな幸せある?

テラス席の端には尾瀬の伏流水。翌日の行動用の水はここから汲みました。夕方には水割りもこれで作成。冷たくて美味しい水です。

テラスに荷歩体験の背負子が置いてあるので、オットに背負わせてみる。箱は空荷ですが、背負子が上に長いので背負う時にバランスがいるみたいです。

さて、腹も膨れて気持ち良く酔ってまだ15時前。部屋に戻り一眠りします。

夕方、風呂に入ってからまたテラスへ。

予報では明日は曇、午後に雨。今夜も曇予報で、残念ながら至仏山は雲に覆われてきました。

昼から絶品フレンチを堪能したのでまだお腹いっぱい。食べてないメニューが気になったけど、自分はワインを一杯だけ頼み、やはりお腹いっぱいのオットは持参したウィスキーで水割りを作ってました。

テラスから暮れなずむ下田代を眺めながら、暗くなるまでまったり。日が暮れたので部屋に戻り、布団を敷いてもう寝ます。山小屋は夜が早い。尾瀬小屋の消灯は20時です。

 

翌朝5時30分起床。朝食は6:00~6:45の間に食堂へ来てねだから、6:15過ぎから朝食へ。朝ごはん食べたら歯磨きして支度して、荷物をバッキングして、7時30には山小屋を出ます。尾瀬小屋はチェックイン 12:00でチェックアウト8:00、山小屋の朝は早いのです。

203号室、一晩ありがとう。

今日は尾瀬沼へ抜けて、初の大清水下山予定。 これからしばらく山の中になるから、人の気配を名残惜しみ、見晴地区を振り返る。

しばらくはこんな樹林帯の中を、いくつもの沢を越えながらゆるゆる登るコース。 見晴が標高1400mで尾瀬沼が1600m、標高差200m稼ぐ感じです

イヨドマリ沢の橋上より上流を見る。相変わらず綺麗。小さいながら良い渓相です。

見晴から尾瀬沼への道は、木道よりこういう普通の登山道が多い感じ。

所々、岩ゴロゴロの登りあります。短い登りだから、そんなにたいしたことないけど。

尾瀬沼の沼尻休憩所に着。

2階建てのトイレ入り口より休憩所と尾瀬沼を望む。下に浄化槽があるから、沼尻のトイレは2階建て。ヘリで汚物を運んでます。尾瀬のトイレにある協力金は、こういう事に使われているので、なるべく小銭を入れましょー。

雨予報が早まったのか、白砂峠あたりから霧雨~小雨が振り出していて、白砂湿原のベンチでザックカバーをつけてました。。沼尻まで来たら雨は止んで薄日がさしてきたけど、雲が低いからまたすぐに降りそう。

また雨降りそうと思ってたら、前方は日が差してきて、水面キラキラして綺麗。これだから山の天気はわからないw

いつもの自分的尾瀬沼ビューポイント。このポイントは鴨などの水鳥も沢山見ます。

赤くなってるオオカメノキの実、雨で濡れて水滴が。熟したら黒くなるから、まだ秋早しって事か。

尾瀬沼のシンボル、三本松に到着!

三本松からすぐのこの沢、晴れていれば空のリフレクションと奥に尾瀬沼が撮れるポイントなんですが、この日は生憎の降ったり止んだり。

しかし周囲の湿原は枯れ葉色。標高が高い尾瀬沼周辺のほうが草紅葉は進んでました。 雨が降ったり止んだりなので、早く下山しようと、尾瀬沼ビジターセンターあたりはトイレのみ済ませて先を急ぎます。

三平峠への登山口のある、尾瀬沼山荘手前のビューポイント。ベンチがあり、対岸に先ほどまで居た沼尻休憩所が見えます。晴れてれば綺麗だろうなー、残念。

燧ヶ岳も雲の中。ここで他の登山者より、この先に進むなら気を付けて、30分前に熊出たってと情報あり。クマ出没は尾瀬沼南岸だそう。

今回、沼尻から南岸行くか、いつもの北岸かちょっと悩んだんだよね、南岸はまだ未踏だったから。天気良くないからサクサク下山しようと慣れた北岸選択で助かった~。

尾瀬沼山荘前に到着。写真撮り忘れたけど、山荘の対面に軽食を売る屋根付き休憩所があります。

小雨も止んだタイミングなので、野外の休憩ベンチへ。私はお腹も空いてきたし、時間もちょうどいいので補給してから峠を登ろうと。

尾瀬小屋でお弁当をひとつだけ頼んでありました。尾瀬小屋のお弁当は紙の箱に入った細めのタイプ。

開けるとこんな感じ。ごま塩とゆかりのおにぎり、生姜のつくだ煮、別ぞえで魚肉ソーセージ。 弥四郎小屋よりおにぎりは小ぶりだけど、朝ごはんをおかわりして沢山食べたからまだあまりお腹空かないオットと、二人で分けて食べるにはちょうどいい。

補給とトイレを済ませて、三平峠を登り始める。尾瀬の常で、登り階段は段差低めで歩きやすいです。途中、沼の向こうに尾瀬沼の三本松がちらりと見えた。

三平峠まではコースタイム25分。そんなにきつい登りではないです。この周囲にベンチあり、一休みします。

ここからの下りが長かった……。一泊装備だから重さも脚を削り、久しぶりに膝裏が両方痛くなり、よろよろ下山。雨もだんだん本降りになるし、写真撮る余裕なし。

やっと下りが終わり、林道部分に出た。

あー、平坦な場所サイコー、痛む膝裏が斜度センサーになってて、痛むからここは下り斜度があるってわかるくらい脚ヨレヨレってたから(笑)

鳩待峠から尾瀬ヶ原、沼山峠から尾瀬沼、御池から燧裏林道、そして三平峠から大清水と、これで尾瀬入山口のメインはだいたい制覇したけど、やっぱり尾瀬行くなら鳩待か沼山峠かなー。

この大清水は、尾瀬沼山荘裏からまず三平峠を超えて、そこから一ノ瀬まで下って、そこからシャトルバス1000円で10分で行くか、1時間ほど歩くかの入山口。

私は三平峠から一ノ瀬への下り道が長く感じました。しかもわりと急。綴れ折りになってる上、岩を敷き詰めて丸太で土止めした、鳩待の入り口からしばらく続くタイプの道がずっと続く。私、尾瀬のこのタイプの道、滑るし歩幅合わないしで苦手でー。始めて歩く道、まして下山は長く感じるのが常ですが、雨でコンディションも良くなかったし、印象はうーんって感じです。

渓流沿いの林道を少し歩き、橋を渡ると一ノ瀬休憩所。シャトルバスが待機しており、トイレもあります。

目標は13:30一ノ瀬で、大清水14:05の路線バスで尾瀬戸倉駐車場に14時台に着くでしたが、間に合わず。

一ノ瀬14:00のシャトルバスで大清水に14:15着。大清水15:05のバスで尾瀬戸倉に15:20に着きました。大清水に着いたら雨も本降り。ザーザー降りに歩いてる最中に合わずに良かった。

下山したら花咲の湯へ向かい、身体を洗ってさっぱり。

尾瀬小屋はもちろん、尾瀬の山小屋だからお風呂ありますが小さめで、一度に4人が限度、しかもシャワーが一台しかない。カラン3ヶ所あるけど水しか出ない。だから浸かる人の居る湯船から湯を汲み使って、頭はシャワーを順番待ちします。ボディシャンは備え付けだし、シャンプー使っていいから嬉しいんだけど、最盛期なんかお風呂待ちどうなるんだろ?

 

下山飯は、沼田インターのほんとにすぐそばにある、洋食屋クレソンへ。

www.creson.net

ノンアルのワインで無事下山を乾杯しながらパテ・ド・カンパーニュを頂きました。ほかにキノコサラダ、自家製パンとオリーブオイル、牡蠣のペペロンチーノ、スフレとアイスクリームを頂きましたが、どれもボリュームあって美味しいので、沼田インター使う山歩き下山飯にオススメします。

 

今回の尾瀬、フレンチを食べに9キロ歩いて行く、遠い尾瀬のビストロを訪問したお話しでしたw