どんな人生にも雨の日はある。

登山初心者の山歩きの記録と日常。行ける山から少しずつ。

遥かな尾瀬(水芭蕉シーズン)前編

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♪夏が来れば想い出す~♪と謳われるほどの高名な景勝地尾瀬。自分も大好きで、山歩きを始めてから実は毎年訪れています。

初の尾瀬は2016年のお盆休みに、急に思いついて日帰りで。幸い晴天に恵まれ、尾瀬の景色の素晴らしさに魅了されまくり、日帰りではもったいない!と翌年2017年7月末には見晴の山小屋泊。残念ながら曇天でしたが、尾瀬ヶ原周回と初の尾瀬の山小屋を堪能できました。たくさん歩いた後に山小屋について飲む生ビールは、これまでの人生最高の一杯でした。

昨年2018年はまだ見てなかった尾瀬沼を、9月末に紅葉目的でやはり小屋泊で訪れています。福島側の沼山峠から入山、生憎の雨混じりの天気でしたが晴れ間もあったりして、沼尻休憩所からの尾瀬沼の絶景と、紅葉や草もみじ、北岸木道での色とりどりの秋のキノコ達を楽しみました。帰り道の農産物直売所で買った採れたてタマゴタケとか、山採れの色んなキノコも面白かった。檜枝岐村の燧の湯はお湯目的で再訪したいくらい気に入ったし。

しかし、まだ尾瀬のシンボルたる水芭蕉の花を見たことが無いなーとふと気がつき、山小屋に予約連絡を入れたのが5/17。5/29に運良く部屋が取れたので、初水芭蕉を見に、尾瀬ヶ原へ行ってきました。

5/29は朝早い時間は小雨→7:00頃から曇→晴と、初日も青空で、翌5/30は雲ひとつないピーカンで珍しく天候に恵まれた尾瀬になりました。やっぱり尾瀬池塘は青空を映した方が綺麗で見ごたえがあります。

 

今回は写真が多いので記事を一日目5/29と二日目に5/30に分けます。

 

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5/29水曜早朝。前日早めに寝たとは言え、 朝4:00起きは辛いです。眠い目をこすりながら山武装して自宅を5:30に出発。関越が空いていたので、途中トイレ休憩など挟みながら順調に沼田インター着で、そこから下道を1時間。尾瀬の戸倉第一駐車場についたのが7:45過ぎ。車を止めて最終の荷物のパッキングなど準備をします。

尾瀬はマイカー規制されているので、マイカーはこの戸倉まで。ここからは排気ガス規制されたマイクロバスに乗り換えて、群馬側の入山口のある鳩待峠(ハトマチトウゲ)へ向かいます。

自宅でザックにパッキングしてますが、車移動中の手荷物をザックに移し替えての最終パッキングをして、登山靴に履き替えます。(車移動中は足元はキーンのスポーツサンダル。さすがに紐を締め上げる登山靴は運転にも長距離移動にも向かないので積んで行って現地で履きます。マイカー登山は荷物を色々持っていけるのがいい、登山口と下山口が同一でないといけないコース取りの縛りがあるけど)

 

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 戸倉第一駐車場のマイクロバス乗り場。ここでバス乗車券を買います。ちなみに、ここはマイクロバス乗り場に一番近い、隣接してる第一駐車場ですが、川むこうに第二駐車場もあり、満車時にはそちらへ車を止めてこのマイクロバス乗り場まで歩いて来ねばなりません。また、沼田駅からバスで来る方や、新宿などのターミナル駅からの直行バスで来る方々も川向こうのバス停から第一駐車場にあるマイクロバス乗り場に歩いて来ることになります。

今日は平日とはいえ、さすがに7月のニッコウキスゲと並ぶ尾瀬のツートップ、水芭蕉シーズン、上の駐車場写真見ればわかるようにけっこう車一杯でした。これが土曜日とかだと、車の混み方が想像するだに恐ろしい。

尚、ここの待合場所にはウオッシュレット完備の個室が広いトイレがあります。個室内にザックが置ける台を置いてあるので、大きなザックのまま入れるありがたいトイレ。着替えも可能なくらい。尾瀬は湿原の公衆トイレも水洗トイレ率が高いですが、ウオッシュレット完備はあまりないのでここで済ませておくことを推奨w

自販機もあります、途中で水を買い忘れたのでここでペットボトル2本補給。どうせ二日目は山小屋前に湧水があるからそれを飲むんで今日の分だけ補充。

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 マイクロバス時刻表。今回はAダイヤ運行。5/18から8/18まではAダイヤで、4/20から5/17までと、8/19から9/13までの平日と、10/7以降はBダイヤという別ダイヤになります。詳しくは関越交通のページ見てみてください。

でも、乗合マイクロバスなんで大体の目安で。8人乗りのバンなんで乗員が満たされれば発車する感じです、我々も8:30くらいに出たし。

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 券売機で乗車券購入。片道ひとり980円。福島側の御池から沼山峠へ行くバスはマイクロではない大きなバスで片道500円だから、ここのは高いなーとは思いつつ、尾瀬の植生保護には必要と納得して毎回払うw

ここでは往復で買えません。片道のみ販売。帰りの乗車券は鳩待峠にある発券所でまた買うシステム。鳩待峠の発券所は名物花豆ソフトクリーム売り場併設なんで、下山のご褒美でソフトクリームは絶対買うし、それはそれで自分はイイけど往復買えずに不便って人もいるだろうな。

……いや、よく考えたら入笠山と同じソフトクリーム商法か、これ?

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 マイクロバスこんな感じー。トイレ済ませてザックしょって準備出来ると、そういう人狙ってうまく運転手のおじちゃんが『行きますかー』と声かけてくる。その誘導にまかせて乗ります。我々は左側奥のマイクロバスに誘導されました。後ろにザックを積んで、乗車人数の8人揃うと出発。8人には助手席も含まれます。

車停めて準備してトイレ行って乗車券買って、だいたい8:30前に戸倉発。戸倉から30分見れば鳩待峠にに着きます。

……今回の行きのバスは運転手が運転荒くて、ギュンギュンと山道カーブを行くもんだから鳩待峠に早く付いたけどほぼ皆車酔いしてた……orz。戸倉から登るにつれてだんだん無言になっていく車内、私もオエーとなったんで10分程度鳩待峠で休みました。帰りの運転手は運転丁寧で全然酔わずにすんだので、どんな運転手に当たるかは貴方の運次第……。車で酔う人は、前の席や助手席にあらかじめ酔うからと運転手に申請して座るといいかも。

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 鳩待峠到着。マイクロバス発着所からすこし歩くと、鳩待山荘のあるこの砂利敷の広場に。昔はこの広場までマイクロバスが来てたそうですが、今は手前に駐車場があって、マイカー規制時期以外の駐車場と、マイクロバス発着所になっています。

戸倉では曇り空でしたが、ここに来て至仏山の上が晴れているのでテンションあがるぅ。しかも、残雪がたんまり端に寄せてあって、これも雪好きにはテンションあがる。

 

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 鳩待山荘と休憩所。休憩所にはうどんや蕎麦などの軽食あります。写真には映って無いですが、休憩所の右側は建物続きでお土産売り場とマイクロバス発券所とソフトクリーム売り場があります。また、休憩所の裏手に公衆トイレ(水洗洋式)あり。

尾瀬のトイレはどこも全てチップ制(戸倉駐車場除く)。トイレ入口に硬貨入れるポストがあるので、使うたびに100円ほど寄付を。貴方の入れた100円が、尾瀬の木道や植生の保護、施設の充実などに使われるのです。

 

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 ベンチなどたくさんあるので、ここで最後の支度をします。トレッキングポールを調整し、靴ひもを締めて、準備運動したりストレッチして、いざ、尾瀬に入山!

団体さん何組か来ていたし、このあと、小学生の遠足団体が来たので、登山道を団体に塞がれて渋滞が起きる前にとっとと登山口に入ると自分のペースで歩けます。団体がいたら団体客とはすこし間を空けて行くといいです。

 

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 登山口。尾瀬の植生保護のため、入口にある緑の泥落としで足の裏の泥を落としてから入りましょう。さあ、ここから3.3㌔下り、湿原入口の山ノ鼻をまず目指します。

それから尾瀬右側通行です。大体の木道は二列複線に敷いてありますが、混雑緩和のために基本はどこでも右側通行で。

もちろん前にも後ろにも人がいないなら、より綺麗な景色を求めて左側歩いてもなんら問題はないし、複数人数で歩いているなら、左右に分かれて並んで話しながら歩きたいし、私たちも人がいない場所では並んで話しながら歩いてます。しかし前後から人が来たら右側に一列に避けます。前から来たら右に避けるのは基本中の基本ですが、後ろからきた人が自分達よりペースが早くて左から追い抜きたい場合もあります。尾瀬歩きの基本は右側一列歩行で、譲り合い精神で。

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 今回の歩行図。往路がピンク、復路が紫です。

今回、復路で見晴から赤田代方面へ向かい東電小屋方面へ歩かなかったのは、東電小屋のあたりで樹林帯歩きが多いから。今回、鳩待峠から尾瀬へ下る樹林帯の木道はほぼ問題なく歩けましたが、一部残雪が覆ってましたし、山の斜面は木々の間にまだまだ雪が見られる状況。雪が多そうなトコはやめておこう&2017年にこのコースは歩いたので、歩いたことない竜宮十字路からヨッピ吊り橋へ向かうコース歩いてみたい、でこうなりました。ちなみに距離は行きは9.3㌔帰りは10.8㌔くらい

鳩待峠から山ノ鼻まで3.3㌔。山ノ鼻から牛首分岐まで2.2㌔。牛首分岐から竜宮十字路まで2.2㌔。竜宮分岐から見晴らしまで1.6㌔。

今回かかった時間は、鳩待から山の鼻まで下り50分。山ノ鼻から牛首まで40分、牛首から竜宮まで60分(途中で水芭蕉群生地立ち寄り)。竜宮から見晴らしまで40から50分くらい。鳩待峠から9:10に入山し、山ノ鼻に10:10頃着。トイレ(混んでて並んだ)と昼ご飯を済ませて山ノ鼻を11:30くらいに出て、見晴の山小屋に13:30に着きました。全部含めたら歩きは3時間くらいかな。

山ノ鼻からは平坦な木道なんで、木道で滑ったりバランス崩してこけたりしない限り、平地を歩くように負担なく歩けます。鳩待からの上り下りだけ頑張ればいい尾瀬特に鳩待からの尾瀬ヶ原は小学生が遠足で、老人がツアーで来れる場所です。

 

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 朝方雨が降っていたそうで、木道はしっとり濡れています。濡れた木道はすごく滑るので注意が必要。ふつーのアスファルト歩きするとツルって行くので、あくまで山歩きのフラットフッティングで。足の裏全面を地面につけて、小股で、ゆっくりと体重移動で足を出す歩き方。慣れればこのゆっくり歩きが息が上がらずに登りを歩ける歩き方だと気が付きます。ま、滑りそうな場所や傾斜がある場所は、上の写真の右側木道みたいに、滑り止めの黒いゴムが巻いてある。

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 至仏山(シブツサン)が左手に見えてきます。日本百名山のひとつ。まだまだ雪に覆われている至仏山、山開きは7/1からなので、今はまだ登れません。

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 木道脇に残雪。ほんとうについ二週間前までは木道もほぼ雪に覆われていたみたいですが、尾瀬保護団体の方々の手入れと、先週の異常な暑さで雪解けが進んだらしく、鳩待峠からの降りではまだ木道上に雪がある場所は1~2箇所くらいでした。

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 山道を下り終えて川上川沿いに出る。ここまででだいたい半分くらい。この先は長い階段とかなくて、ゆるいアップダウンのみ。先には小さなテンマ沢湿原があるので、まずはそこを目指して歩きます。夏に来たとき、水芭蕉の葉っぱがたくさん生えていたので、水芭蕉ポイントではないかと思う。

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 テンマ沢到着。お、やっぱり水芭蕉群生地だ!

木道の両脇の小さいな湿原や流れに、水芭蕉がたくさん咲いてます。やっぱり、ここは夏に葉っぱがたくさん生えてたからあると思ったんだよ。

前を歩く人々も足を止めて歓声を上げてます。

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 ちょうど陽もさしてきて、湿原を流れる雪解けの水面がきらきらして綺麗でした。雨上がりのせいか、水芭蕉がみずみずしくて良かった。

翌日、帰りにも通りましたが、5/29の朝のこの水芭蕉に比べると翌日は乾燥していてみずみずしさに欠けました。

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始めてちゃんと水芭蕉を見ましたが、いや、感動。ほんとうに綺麗で清楚な感じがします。雨上がりの水滴がまたいい感じで……。当日は朝から晴れでないことを少しうらめしく思ってましたが、こういう効果があるなら雨天後もまたいいかもしんない。

植物は、やはり水あげた後が生き生きしてるもんだし。

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なかなか、尾瀬の紹介の写真でみるような、綺麗な形の水芭蕉は無いけど、自然で生えているものだからどれも生き生きしてる。

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 あ、なんかこのひと株が尾瀬っぽいカモw

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 水芭蕉の花が~咲いている~夢見て咲いている水のほとり~♪と歌われるわけだわ、これは。ほんとうに素晴らしい景色でした。

山あいの小さな湿地の群生地でこの景色なら、あの広大な開けた尾瀬の絶景の中にある、下の大堀の大群生地はどんな極楽風景なのか……ワクワクします。

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 テンマ沢抜けて、木々の若芽の萌える樹林帯を通りしばらく行くと山ノ鼻に到着。9:10に鳩待出てるから10:00着で50分ほどで下りました。

写真の建物は山小屋の至仏山荘。山ノ鼻には山小屋が三件ほどと、ビジターセンター、公衆トイレ、キャンプ場などがあります。山小屋は泊り客以外も軽食や生ビールも飲めます。売店もあるので山バッジやお土産も買える。

降りが苦手なガラスの膝持ち、いつも平均コースタイム60分より10分増しの70分くらいでゆっくり降りますが、今回早いのはワケがあります。実は平坦な場所で団体さんや小学生たちを追い抜いて早足で来たから。至仏山荘前の休憩ベンチはたくさんありますが、それでも数は限られているので、団体さんと小学生の後から行くと座れない可能性があるからです。

ここで大休憩(お昼ごはん)の予定だったため、なにがなんでも座りたくて早足。結果、早く着いたし座れたけど後半で膝裏がすこし痛くなったので反省です。

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 山荘前から一番奥のベンチに座ったので、奥にフキノトウがたくさん生えていました。子供の時はあちこちのあぜ道で見たもんだけど、最近はそういえば全く見てないなーと撮影。

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 子供の時に土手なんかで摘んだ覚えが。自分が小さい頃は今ほど厳しくない、おおらかな時代だったから、あぜ道でよもぎ摘んだり、山裾で筍採ったり、土手でからし菜摘んだりしました。

蕗、今ならごま油で甘辛く炒めてから味噌と混ぜ合わせて蕗味噌とか作りたいなーと思いながら。尾瀬は国立公園、山で撮っていいのは写真だけ。

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 湿原へ出る木道脇にはしょっぱなから水芭蕉が顔を出します。写真撮りたくなったけど、湿原へ出る直前、尾瀬ロッジ前を左に直角に折れる場所は、次から次へと後ろからも前からも人が来るんで立ち止まってられず、すこし行ってからの湿原の景色。

水芭蕉、たくさん咲いてるぅううう!気持ち盛り上がるぅううう♪

この山の鼻から一番近い湿原が上田代。牛首から竜宮あたりが中田代。見晴が下田代と、湿原は大きく三つに分けられてます。

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 振り返れば奥に水芭蕉、その奥にどーんと至仏山(シブツサン)

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 やはり水場を好む植生から、湿原を流れる小さな沢、小川などの周囲に水芭蕉は群生が見られます。

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 二週間前までは一面雪野原だった、まだ枯れた枯葉色の湿原に、水芭蕉の瑞々しい緑と白のコントラストが本当に映える。

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 水芭蕉の白い花で小川の流れがわかる図。蛇行した川沿いに点々と水芭蕉が生えていて、奥の方は川辺にびっしりと白い花が。花が咲いてるとこが川が流れているトコだ。

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 奥には燧ヶ岳(ヒウチガタケ)。まだすこし雲がかかってますが、この雲はしばらくしたら無くなりました。燧(ヒウチ)のあるあそこは実は福島県です。尾瀬は歩いて県境を越えられる場所。『おれ、今日歩いて福島行ったぜ!』が出来る場所ですw。手前は群馬県ですが、燧岳の麓は福島県。今宵宿泊する山小屋のある見晴地区は福島県です。見晴から東電小屋へ向かうと新潟県に入る。尾瀬は山深い上に広大だから、3県の県境が入り組んでいます。

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 燧ヶ岳の雲が取れた。雪溶けシーズンのため、湿原に水が多く、池塘があちこち溢れたり川が溢れたりしているため、全体的に水が多い尾瀬ヶ原です。

時には雪解けで全て水没し、季節限定の「尾瀬湖」が見れる時もあるそうで。

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 まだ手前のダケカンバなどは若芽が出てないけど、山の斜面のブナなんかちょうど芽吹きの時期で、左右の山も本当に新緑が綺麗でした。

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 雪解けで奥を流れる川が増水し、支流の小川まで氾濫、普段は水がない場所にまで流れができてました。

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 触ったら手を切るほどに冷たい雪解け水でした。水芭蕉が水没して水中花になってる。あの水没した水芭蕉、大丈夫なのかしら?

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 尾瀬のビューポイント。この湾曲した木道と手前の池塘、奥の燧ヶ岳の取り合わせがシャッター押す指も捗る場所ですが、さすがに池塘があふれてでかくなってるわ。

ちなみに、至仏山より北にあるし標高も高い燧ヶ岳の雪が少ないのは、見えてる面が南向きだから。至仏山の見えてる面は北向きで、夕方早くに日陰になってしまうから雪解けが進んでない。多分、燧ヶ岳も反対側の福島側から見たらまだ雪深い姿が見えるはずです。

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 しばらく歩くと、大きな池塘ごしの燧ヶ岳が美しい『逆さ燧』ポンント。風が無ければ凪いだ水鏡に燧ヶ岳が映り込む『逆さ燧』が撮影できるビューポイントです。そういうポイントには道しるべが立っていたり、足元の木道にビューポイントの名前入りの金属のプレートが打ち付けて→が書いてあるからすぐわかります。

ちょっと風があるから逆さ燧は望めなかったけど、ここの池塘は水がすごく澄んでいて透明度高くて綺麗です。

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 『逆さ燧』ポイントで振り返って至仏山。これはこれでいい風景です。

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 だんだん晴れてきて空の青空率が上がると、池塘に青空が写りこんですごく綺麗です。湖や池塘は、やはり晴れた日が一番綺麗。青空が映り込むから。

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 牛首分岐(画面中央の緑がぼこってしてるトコが牛首)を過ぎて上田代から中田代に入る。だいたい30分か1時間ごとぐらいに休憩ベンチが設置されてます。山ノ鼻から来ると第一休憩ベンチが逆さ燧のトコ。

すぐ先に左に入る分岐があり、足元には下ノ大堀(水芭蕉群生地)と書いてあります。今回の尾瀬旅の目的のひとつはそこ。良く写真で見る尾瀬の風景、水芭蕉至仏山を見たくて来たのだ。

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 ……おお!すごい!これは感嘆の声しかでないわ。下ノ大堀川の蛇行に沿って、水芭蕉が群生しています。

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 川の中州までびっしり水芭蕉。右も左も奥までびっしり咲いてる。空の蒼を写し込む水面、雪の残る至仏山水芭蕉の白と緑の群生、全てが一服の絵のようだ。

重そうな一眼や三脚などのカメラ機材を抱えて歩く人をたくさん見ましたが、たしかに納得。この光景、カメラやってるなら一眼とかで綺麗に撮りたくなるよ。それだけの価値のある風景だと思いました。ちなみに、私はほぼスマホ撮影。

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 遠景もきれいだけど、足元の近景もキレイ。ちょうどブーケのようなひとまとまりに咲く水芭蕉

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 下ノ大堀の群生地を過ぎたこのあたりから、木道の真ん中に黄色の花がお目見えし始めます。

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 水芭蕉と同じ時期に花ざかりになるリュウキンカの花です。どちらかというとたおやかなイメージの水芭蕉と、黄色くてはじけるような元気なイメージのリュウキンカが一緒に咲いてると対比が面白いです。色味的にも綺麗だし。

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木道沿いの リュウキンカ水芭蕉のコラボを楽しんでいると竜宮小屋が見えてきます。

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 竜宮、地図でいうと場所はこの辺です。ちょうど湿原のド真ん中。

日帰りツアーだと、だいたいが手前の牛首分岐までで引き返します。中にはこの時期だから下ノ大堀の水芭蕉群生地を見てってコースもあるけど、日帰りは行ってもこの竜宮小屋までが多いです。竜宮小山まで歩くコースだと、ここでヨッピ吊り橋方面へ行き来た道と別の道を牛首分岐まで歩いて山ノ鼻へ戻っていく感じかな。

竜宮は竜宮十字路という湿原内のトラフィクスの交わる場所だし、竜宮現象という地下に吸い込まれていく川の流れと、それが湧出する場所を見れるビューポイントだし。

 

つまり、ここから奥の下田代は、見晴の山小屋へ宿泊する方々か、健脚で見晴往復する強者か、見晴らし経由で尾瀬沼へ向かう者かしか歩かない、比較的人の少ない静かな尾瀬が楽しめるってワケです。

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 燧ヶ岳を背にした竜宮小屋。小屋の裏手に公衆トイレ(水洗洋式)あり。しかしここ竜宮の女子トイレ内には汚物入れありませんので注意。汚物入れに入れるゴミは持ち帰りになります。

思うに、汚物入れにそれ以外のゴミを捨てるヤツらがいるからこういう事になる。どこかの山岳観光地で、女子トイレの汚物入れにマックなどの食事ゴミが山と積まれている図を見たことがあります。竜宮までは日帰りツアー客が来るから、苦肉の策でそうしたんだろうと思いました。

事実、この二日間でも竜宮小屋の前の休憩ベンチの裏に、コンビニ袋に入れたゴミをそのまま放置してるのを見かけました。泊まった山小屋でも、ゴミは処理してくれないのかーと大声でぼやく老年グループも居ました。が、山に来るならその山のルールくらいは勉強しようよ、と思います。郷に入れば郷に従え、です。尾瀬が国立公園で、登山口で靴の泥を拭うほどの植生管理をしている場だって事、山岳ゴミ持ち帰り運動の発祥でもあるって事、普通に考えればゴミ厳禁で持ち帰りって分かると思うんだけどなー。

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竜宮小屋の裏手は少しだけ樹林帯があります。竜宮でトイレをすませてベンチで小休止。主人は腹が減ったと行動食を補給し、先に進みます。

上田代や中田代より、この下田代のほうが湿原が乾燥している気がします。少し歩くと、樹林帯の先に見晴の山小屋が見えてきました。夏は繁る木々の葉に邪魔されて山小屋見えないけど、今の時期はまだ木々が芽吹いてないから遠くからでも山小屋がよく見える。

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 乾いてる下田代にはいると、植生が変わってきます。これはショウジョウバカマ。乾いた湿原の枯れた草の陰にピンク色の花が映えます。

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 ザゼンソウ。初めて見ました。水芭蕉と同じサトイモ科。赤い苞の中の花が、座禅を組んだ達磨大師に見えるからこの名前だそうで。

水芭蕉のそばに咲いていると、形が似てるから紅白の水芭蕉みたいでおもしろい。ちなみに水芭蕉も花びらに見える白い部分は葉が変化した仏炎苞です。

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 尾瀬は、樹林帯が帯のようになってる場所には川が流れている法則。遠くから見て、横に細く木々が生えてるなーと思ったらそこは川です。竜宮小屋の裏手も川が流れています。そして、川があれば水芭蕉が咲いている。

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 小さな川です、幅3mくらいの。でも澄んだ川の中にマスかイワナ系の魚影が見えました。

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 ……風に乗ってカッコーの鳴き声がするだけで、まったく人の声がしない静かな湿原。川べりに水芭蕉咲き乱れる、澄んだ小川を覗き込めばイワナが泳ぎ………何だここは。――天国か!

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 カッコーの声が響くお昼過ぎの湿原を、来た方向へ振り返れば陽に透ける水芭蕉の花が散りばめられた緑の野に、遠くに至仏山。……ああ、綺麗だ。気持ちが落ち着く。下界の、様々な小さなストレスで心と体に溜まった澱が浄化されていく気がする。

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 山小屋へと、一直線に伸びる木道。このあたりの木道はだいぶ腐食が進んで表面デコボコで歩きにくいので注意。また、このあたりの木道と木道の間の空間にザゼンソウがたくさん見られました。足もと注意で歩くといいかもー。

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 今宵の宿に到着!前も思ったけど、見晴の山小屋、小屋が見えてからが遠いんだよねー。

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 小屋を撮影する自分をいつのまにか後ろから撮影されてましたw

今回はいつものミレーサースフェー28でなく、グレゴリーのジェイド33を背負ってます。やっぱグレゴリーはミレーより荷物が入るw

気温変化がいまいち読めなかったので、夏用ハーフパンツにタイツは厚手の冬用。上はジオラインの長袖アンダーに半袖ジップアップTシャツを重ね着し、裏起毛してるライトシェルパーカー羽織ってます。ザックにはフリース。夕方から夜間の気温低下対応用。

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 せっかくなので上で自分が撮っていた写真はこれ。小屋の真正面、弥四郎小屋と書いてあるところを撮ってました。前回、2017年もここに泊りました。湿原眺めながらテラスで生ビール飲めるのがすごーーく気に入り、今回もそれがしたくて同じ小屋。

去年の尾瀬沼尾瀬沼ヒュッテも悪くなかったけど、あそこ村営で、あまり山小屋の人とふれあいがなくて。生ビールも売り切れてて飲めなかったし(←ソコが一番大きい)。弥四郎小屋は前回の山小屋の人の対応も暖かくて良かったし、風呂も広かったし、シャワーも5台あったしなにしろ700円で生中飲めるし!!

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 弥四郎小屋の外観は、茶色の木目にミントグリーン窓枠がレトロな感じ。手前右に全部個室の別館があります。写真の本館は実際古い木造で、床とか傾いてるし天井低いし。収容人数250人。小屋の前はベンチとテーブルがたくさん設置されていて、ここで一休みする方々もたくさん。

向かって左手、赤や黄色やピンクの椅子が出てるテラスの部分が喫茶で、焼きたてパンと、小屋の前に湧いてる弥四郎清水を使ったコーヒーが楽しめます……もちろん、生ビールも。荷物解いて早くあのカラフルな椅子に座りたい。空いてるうちに。

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 13:30着で、予定より30分くらい早めに着きました。早々にチェックインします。山小屋は13:00くらいから入れます。

予約段階で『もしかしたら相部屋かも……』と言われてたので、相部屋覚悟してましたが思いもよらず8畳の本館の個室でした。ただ、階段の前の部屋で、みんな階段通るからうるさいはウルサイ(笑)。でも個室で寝れるだけで僥倖、ラッキーです。前回の宿泊は別館だったし、本館も泊まってみたいと思ってたんだ。

荷物を解いて、いざ、喫茶へ!

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 生中の黄金色越しに見える至仏山を楽しんだら、グイーーーとジョッキを傾けて喉に流し込む。クーーーッ、これよこれー!これを飲みたかったのよー!!五臓六腑に染み渡る生ビール、ああ、至福の時。

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 実際はこの時間から風が強くなってきて、少し肌寒かったけど、フリース着てライトシェルパーカー羽織って防寒して飲みました。

いつもは飲む時はつまみが欲しい自分ですが、今日のビールはつまみがいらない。これだけでいける。強いて言えば景色がつまみかもしれない。

至仏山と湿原を、ぼーーっと眺めながら口に運ぶ生ビールの旨さ……最高✩デス✩

 

このあと、お風呂開始時間が15:30だったので、ビールで気持ちよく酔っぱらい、部屋でごろんと昼寝しました。15:30過ぎに館内放送でお風呂開始が流れたので即効でお風呂に入ります。尾瀬の山小屋は水が豊富なのでだいたいお風呂があります。赤田代の温泉小屋などは名前のとおり温泉です。

お風呂は環境保全のため石鹸もシャンプーリンスも使えないので、お湯で髪と体を洗って湯船に浸かるだけですが、疲れた体を湯船に沈めるだけで、疲れの取れ方が随分違います。弥四郎小屋は前に湧く弥四郎清水をわかしたお風呂だから、普段の自宅の風呂よりまろやかな気がします。頭もお湯で念入りに洗ってすすぐと気持ちがいい。お湯であらうだけで髪の汗の臭いもだいぶ気になりません。

ドライヤーはないので、ターバン持参。洗った髪はタオルドライしてからターバンでまとめます。どうせ明日も帽子かぶるから前髪がなくても大丈夫。髪も縛るし。

風呂に入ったら17:30の夕食までお腹ぐーぐー鳴らしてごはんを待ちました。お風呂後にビールもう一杯も考えたけど、風が強くなってかなり気温が下がってたんで、ビールは寒くてパス。お腹が好きすぎて寒く感じて、もう、ご飯でカロリー補充したい気持ちで一杯でした。

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お待ちかねの晩御飯。食事は1Fの食堂で皆揃っていただきます。山小屋の晩御飯は、食堂が狭い場合や混んでる時は二回の交代制になる事もあります。

今夜のおかずは珍しくとんかつでした。山小屋はハンバーグが鉄板だし、前泊まった時はハンバーグだったので今回もそうかなーと思ってたけど。

ご飯は四人ごとくらいに前に置かれたお櫃から好きなだけ。前にはお茶のはいったヤカンも置かれるのでお茶も注いで。ソースは順番に回ってくるので好きなだけかけて、準備が出来次第、自分のペースでいただきまーす。特にみんな一緒のいただきますとかは無いです、食堂に揃った順に好きなペースで食べていく形です。

ご飯、味噌汁、とんかつとサラダ、揚げなすの南蛮漬、きんぴらとレンコン、デザートの杏仁豆腐。どれも美味しくてガツガツ食べました。同じテーブルで我々が一番食べるの早かったw

もちろん、ご飯は一杯では足りないのでお櫃からおかわりしますが、そのころにはおかずが足りなくなるのが山小屋の食事の恨めしいところ。そのため、あらかじめふりかけを持参。前回、腹減ってたからとご飯食べ過ぎて翌朝もたれたので、今回はひかえ目におかわりをよそいます。ふりかけで美味しく二杯目を頂きました。

食後は、小屋番さんが片付けやすいように机ごとに同じ器は全て重ねておくのが山小屋のルール。お茶碗はお茶碗、お皿はお皿と全て片付けて、食堂をでたのが17:50、20分でご飯おかわりして全部食べたYO!

 

その後、担いできた小さいスパークリングワイン缶を小屋前の清水にほうりこんで冷やしてたのでそれを回収し、部屋で布団を敷いてからお酒を飲んで、暗くなるのを待ちます。20:00を周り、暗くなってからヘッデン装備して夜闇の湿原へ。

ヘッデン消して空を仰げば満天の星空。自宅では見れない小さな星まで見えてすごかったです。ただ、まだ消灯前だったので、星空すごかったけど小屋の灯りが邪魔かな。

主人は館内消灯した21:00以降、00:00過ぎに起きてもう一度見に行ったそうですが、天の川まで見えるすごい星空が見えたとか。

私も誘われましたが寝ていたので眠くて断わりましたが、翌朝、主人から話を聞いてちょっと……いや、かなり後悔。なかなか綺麗に晴れる夜はないから、無理してでも見ておくべきだったか……一度、満天の星空見たいと言ってたくせに……と、星空に関してだけは悔いが残った一日目でした。