どんな人生にも雨の日はある。

登山初心者の山歩きの記録と日常。行ける山から少しずつ。

初秋の尾瀬・燧裏林道から尾瀬沼へ

f:id:Aoituki:20210926234424j:plain9/22-9/23で尾瀬を歩いてきました。福島県側の尾瀬の玄関口、檜枝岐村にある御池(みいけ)に車を止めて、御池登山口より入山。東北以北の最高峰である燧ヶ岳(ひうちがたけ)の麓をぐるりと歩いて尾瀬ヶ原に出て、見晴(みはらし)地区で山小屋泊。翌日は見晴からやはり燧ヶ岳の麓を更にぐるりと歩き白砂峠を抜けて尾瀬沼へ向かい、尾瀬沼北岸を歩いて尾瀬沼ビジターセンター周辺で昼ご飯休憩。その後、大江湿原を抜けて沼山峠を越え、沼山峠休憩所に下山。そこから御池までは一般車乗り入れ禁止なので低公害バスで戻る、二日で20キロ歩くなかなかのロングコースです。

このコースは実は去年に歩くはずでした。①5月水芭蕉シーズンはコロナで山小屋泊がダメになり、②7月は雨天続きの悪天候で延期。③8月の夏休みに檜枝岐まで来て前泊車中泊するも、翌日に体調不良で御池を目の前にして撤退。④9月は台風で中止と、昨年都合4回もポシャった因縁のコース。これだけ拒否られたらもう来るなということかー!と昨年は諦めて取りやめにしましたが、今年はどうにか調整して行ってきました。

一泊装備のザックはいつもより重たい。頼れるものは己の足と根性のみ。ガラスの膝をなだめすかして歩く、一泊二日の初秋の尾瀬旅の始まりです。

 

f:id:Aoituki:20210926234436j:plain福島側の尾瀬玄関口、檜枝岐村を一言で表すと《遠い》陸の孤島の別名もあるほどで、埼玉の自宅からは片道4時間はよゆーでかかる。

本当は、今年のお盆休みにゆっくり時間を取って、たっぷり寝て午後にゆるゆる自宅を出て、途中でお風呂も済ませて缶ハイボールを2本買って、道の駅檜枝岐で星空見ながらハイボール飲んで20時頃から車中泊。翌朝、よく寝た元気満タンな体で尾瀬入りして、下山後もなんならどこか温泉でも行くー?それとももう一泊檜枝岐車中泊で渓流釣りでもやってみちゃう?なノリで計画していましたが、今年のお盆は長雨続きで尾瀬行きはお流れ。

……このままいくと、昨年とおなじハメになるのでわ?……。

――よし。ちょっぴりキツイけど、水木連休で行こう。前日の火曜夜に仕事から帰ってから支度して出て、檜枝岐に前のり車中泊して行こう!

そして9/21火曜。普通に仕事してくたびれて帰宅し、風呂入って支度して21:30に自宅を出て1:00に道の駅着。車中泊準備して1:30就寝。起きた瞬間どこにいるのかわからなくなるほどぐっすり眠れて6:30起床。御池に移動し、車を止めて支度して、入念にトイレ行って、8:30に歩き出しました。

台風は過ぎ去ってくれたけど、低気圧の通過で直前まで定まらぬ天気予報。てんくらなんぞ、直前までC予報。まあいいや、尾瀬に小雨はスパイスだわ、ざーざー降りでなければ歩こうと覚悟していけばこの晴天。やったーーー!

f:id:Aoituki:20210929223449j:plain今回のコース。黄色のラインが今日の行き道で青のラインが明日の帰り道。燧ヶ岳の麓をぐるりと巡るコースです。行きの燧裏林道は原生林の中に湿原が点在してます。帰りは尾瀬沼を右手に見ながら歩けるのも楽しみ。明日も晴れてくれますように。

f:id:Aoituki:20210926234447j:plain御池駐車場は駐車料1000円。400台止めれる大きな駐車場です。今回はコロナで檜枝岐の村営の山小屋や休憩所は閉めてましたが、村営の尾瀬沼ヒュッテなどに泊まると駐車料無料になるサービスがあります。駐車場の奥の突き当たりが御池登山口です。

f:id:Aoituki:20210926234459j:plainさあ、ここからレッツらゴー!頼れるものは己の2本の足のみの、一泊二日の尾瀬旅の始まりだ!

f:id:Aoituki:20210926234512j:plain初めは平坦な、二人並んで歩ける広さの木道です。これから車椅子でも最初の田代(湿原)までならいけそう。

f:id:Aoituki:20210926234521j:plainすぐに燧ヶ岳登山口の分岐が現れます。燧に登れる脚は無いので真っ直ぐ行きます。

f:id:Aoituki:20210926234531j:plain鹿防止ネットを越えます。尾瀬も鹿が増えて、ニッコウキスゲを食べてしまうので困っているそうだ。

f:id:Aoituki:20210926234542j:plainすぐに最初の田代(湿原)、御池田代が広がります。うーん、開放感が気持ちイイ!樹林帯を歩いていて急に開けると、うわーと声が出てしまいます。

f:id:Aoituki:20210926234553j:plain御池田代を横切り、また原生林の中へ。序盤は登りが続きますが、御池より尾瀬ヶ原は標高が低いので、おおざっぱに言えば後半はゆるゆる湿原へ降っていくかたちです。

f:id:Aoituki:20210926234609j:plain尾瀬の登りは大体が木道で、段差も低めでゆるやかな登りです。朝露や雨などで滑ることを注意して息が上がることに気をつければ大丈夫です。

f:id:Aoituki:20210926234621j:plainひと登りしたらまた開けて次の田代。実が色づいてきたナナカマドが印象的な、ちいさな田代の入口です。

f:id:Aoituki:20210926234632j:plainなるほど、こぶりな湿原のここは姫田代っていうのね。

f:id:Aoituki:20210926234641j:plainパノラマで全体を撮影。

f:id:Aoituki:20210926234650j:plainだんだん色付き始めた原生林。盛夏より白っぽく抜けた樹木の色調が秋の入口を感じる。

f:id:Aoituki:20210926234701j:plainもうちょっと経ったら、正面の森も赤や黄色で綺麗だろうなー。

f:id:Aoituki:20210926234711j:plain姫田代は出口にもナナカマドが。まるで田代の門番のよう。

f:id:Aoituki:20210926234721j:plainこちらのナナカマドはあと一週間もすれば葉まで赤くなりそう。

f:id:Aoituki:20210926234730j:plain姫田代を過ぎて、またひと登り。

f:id:Aoituki:20210926234740j:plain御池より標高が上がったせいか、このあたりは紅葉が進んでました。

f:id:Aoituki:20210926234750j:plainハゼ科かな?赤い葉が日に透けて、青い空に映えて綺麗。

f:id:Aoituki:20210926234759j:plainお?先が開けてきた。次の田代の入口だ。暗い森の中から開けた田代が見えるとわくわくします。

f:id:Aoituki:20210926234809j:plainこの潅木を過ぎれば開けるはず。

f:id:Aoituki:20210926234820j:plain開けた――!燧裏林道で一番大きな上田代に到着です。

f:id:Aoituki:20210926234833j:plain今回のコース選択の目的のひとつに、この田代にある斜め湿原を見てみたい!というのがあって。よく燧裏林道の紹介の写真に載ってるヤツ。

f:id:Aoituki:20210926234854j:plainキター!これ!この斜めになった傾斜湿原がみてみたかった!満足!

f:id:Aoituki:20210926234905j:plain斜めになった湿原に、ぽつりとベンチがある、この景色が見てみたかったんです。

f:id:Aoituki:20210926234920j:plain夏は緑だった湿原は草もみじで金色。奥の山は秋に向けてだんだん色あせてきている。初秋の尾瀬の風景が目にしみる。

f:id:Aoituki:20210926234934j:plainこちら側にみえるのは平ヶ岳かな?尾瀬ヶ原より高層湿原だから、福島の山々が同じくらいの目線に見えて面白い。

f:id:Aoituki:20210926235006j:plain上田代からは少し降ります。燧裏林道は登ってはちょっと降ったりの繰り返し。

f:id:Aoituki:20210926235018j:plain次の田代、ノメリ田代に到着。ノメリ→滑るってことらしい。昔、このあたりの田代を歩くときによく滑ったからとか。

f:id:Aoituki:20210926235031j:plain湿原の向こうに福島の山々が見える。ここも斜め田代だなー。

f:id:Aoituki:20210926235042j:plainここはけっこう、木々が色づいてきてるな。

f:id:Aoituki:20210926235109j:plainノメリ田代からは横田白、西田代とちいさな田代が連続します。これは横田代の池塘。燧裏林道の田代は、わりかし湿原としては古い様子で、乾いている感じだったので池塘は見れないかと思っていたよ。

f:id:Aoituki:20210926235121j:plain西田代にもちいさな池塘発見。

f:id:Aoituki:20210926235132j:plain晴れて良かったなー、やっぱ池塘は青空を映して青く見えていてほしい。

f:id:Aoituki:20210926235144j:plain燧裏林道は小さな沢もたくさん。地図に出ていないような沢や枯れてる沢も合わせれば10本以上は渡ったかも。沢の最初の流れ出し、源頭が見れるような場所もあったよ。

f:id:Aoituki:20210926235155j:plain皆が撮ってる曲がりの木。豪雪に若木の時にぐにょんと曲がってなお、折れずに空に向けて生える強さ。

f:id:Aoituki:20210926235208j:plainこれ、ダケカンバの木か!ダケカンバは樹皮がもっとひらひらしてるイメージですが、古木になるとこうなるのか~。

f:id:Aoituki:20210926235220j:plainこの先はしばらく樹林帯歩き。燧裏林道は後半、こんな感じの原生林が続きます。時々ものすごく大きい古木があったり、シラビソのいい香りがしたりして、樹林帯歩きがわりと好きな我々は楽しく歩けました。なにより木陰になるので暑くなくていい!

歩いた日は平日で、人気はほとんどなくすれ違いも序盤と終盤で数組程度。《静かな尾瀬を楽しめる道》と紹介にもあるように、尾瀬ヶ原のような賑わいはありません。

その分、熊対策はしっかりと。尾瀬は熊の生息地です。目撃情報も多いし、我々人間が奴らの生息域へ踏み込むんだからしょうがない。林道歩きでは高音域の熊鈴を夫婦共にずっと鳴らしてました。時々、獣臭い箇所もあったので、そのような時も含めて定期的にピーピーと笛も吹いて。その上でなるべく声を出して話をしながら歩きました。過剰かもしれないけれど、お互いに不幸な出会いはしたくない。

f:id:Aoituki:20210926235234j:plain天神田代に到着。

f:id:Aoituki:20210926235246j:plain小さな田代です、やがて原生林に飲み込まれてしまいそうな。

f:id:Aoituki:20210926235300j:plainそれでも紅葉の色付きはここが一番綺麗でした。

f:id:Aoituki:20210926235316j:plain天神田代の脇が渋沢(シボサワ)温泉への分岐です。指導標が下に落ちているけど、ここが分岐みたい。この先にはかって、渋沢温泉小屋という山小屋があったそうですが、今は廃業されています。この道も確か現在は不明瞭で歩くのを推奨されてなかったような……。だから指導標が落としてあるのかも知れない。入口から見ただけで藪漕ぎしそう。熊も出そうだし、歩きたくはないかなー。

f:id:Aoituki:20210926235328j:plain裏燧橋という吊り橋に到着。シボ沢という大きめの沢をまたぐ吊り橋です。ここで燧裏林道の半分くらい来ました(段吉新道は含まず)。尾瀬ヶ原と違ってベンチのほとんどない燧裏林道、なかなか腰を下ろして休めないですが、この裏燧橋のたもとにはベンチがあります。腰を下ろした休憩はここでどうぞー。我々もここで休みました。

f:id:Aoituki:20210926235342j:plain吊り橋の上からシボ沢を望む。なんだ、枯れてる……。大きそうな沢だから魚影が見れるかと楽しみにしてたのに。

f:id:Aoituki:20210926235354j:plain吊り橋からまた原生林の中の道を歩き、いくつか沢を渡って、やっと三条の滝との分岐に到着。よし、燧裏林道を踏破したぞ!次は段吉新道で尾瀬ヶ原へ向かいます。

尾瀬を更に楽しむなら、三条の滝まで行って鑑瀑台から100mの落差の三条の滝を見るべきでしょうが、私のガラスの膝はすでに限界w膝裏が痛くなってきてました。もともと、自分の足の脆弱さはわかっていたので、結構な降りと登りのある三条の滝経由コースはパスし、平坦な巻道、段吉新道で赤田代へ向かうコースを組んでました。

f:id:Aoituki:20210926235407j:plain段吉新道。わりかし平坦な道をあと2キロか3キロで赤田代、尾瀬ヶ原の端に出るぞ!がんばろー!

f:id:Aoituki:20210926235420j:plain燧裏林道も段吉新道も、道はほぼ木道があるし、沢にはほとんど木の橋がかけられています。

f:id:Aoituki:20210926235433j:plain沢、きれいだなー。水場の側は冷たい風が吹いてきて気持ちいいです。水も冷たかった。滝が見れなくても水場はたくさんあるので飽きない。

f:id:Aoituki:20210926235451j:plain地図にも出ないような小さな沢への降りと登りが地味に脚力を削ります。このあたりはすでに、もうすぐ尾瀬ヶ原の平坦な木道だ!という根性だけで歩いていたような……w何しろ、今年はあまり歩けてなくて、前回の山歩きからは久々3ヶ月ぶりでこのロングコースだもんよー。

f:id:Aoituki:20210926235504j:plainしかし、水は綺麗で癒されます。この沢で久しぶりに人とすれ違いました。人が来るってことは赤田代が近い証拠。

f:id:Aoituki:20210926235520j:plainキタ━(゚∀゚)━!段吉新道が終わって、あと5分で赤田代って箇所の分岐です。奥にいくと三条の滝方面。

f:id:Aoituki:20210926235538j:plainああ、この2本並んだ、幅広く歩きやすい尾瀬ヶ原式の平坦な木道を待ってた♪燧裏林道も段吉新道も、木道が古くて荒れてるし、森の中の道だから基本一本木道です。

f:id:Aoituki:20210926235548j:plainすぐに人工物が見えて赤田代。このあたりは温泉が出て湿原が赤くなるから赤田代と言うそうで。温泉に入れる山小屋が2件あります。赤田代の休憩所はコロナで閉まってましたが、この前にベンチがあるのでそこで休憩します。しばらくぶりのベンチ、靴を脱いで足をあげて、ゆっくりめに休みます。

f:id:Aoituki:20210926235559j:plain公衆トイレもあります。水洗の洋式トイレです。公衆トイレの奥にある元湯山荘は閉まってましたが、更に奥にある温泉小屋は開けてました。今日はずっと、人も居ない原生林の中を歩いてきたので、人の手の入った建物などの人工物をみるとほっとしました。

f:id:Aoituki:20210926235610j:plainトリカブトの群生。全部に毒のある剣呑な植物だけど、花は綺麗。あまり花のない秋の湿原に色を添えてくれます。

f:id:Aoituki:20210926235623j:plain温泉小屋。目の前に赤田代が開けた抜群のロケーションでした。小屋の前にウッドデッキがあり、パラソルの下は椅子が置かれておしゃれな山小屋カフェになってました。今は休止中みたいだったけど。

f:id:Aoituki:20210926235638j:plain温泉小屋の辺りの木道から見える赤田代の開放感!しばらく林道にいたからこの湿原の開放感に飢えていたよ!

f:id:Aoituki:20210926235649j:plain赤田代から見晴のある下田代へ向かいます。田代と田代の間にある樹林帯は一部きれいに色づいてました。開けてるから日差しが当たって紅葉が早いのかな。f:id:Aoituki:20210926235702j:plainおーーー!!この開放感!これぞ尾瀬だわー。

f:id:Aoituki:20210926235714j:plainパノラマで。東電小屋分岐を過ぎたちょいと先あたりです。右手に見えるのは群馬側の尾瀬ヶ原の盟主、至仏山か。

f:id:Aoituki:20210926235729j:plain至仏山が見えると尾瀬ヶ原に来た実感。なにより湿原は平坦でいい、歩きやすい。ただ、この日はこの時期にしては蒸し暑く、湿原に降りてきたら足元からムワーと蒸す感じで。ずっと木陰と沢の道を歩いてきたから湿原は暑くてたまりませんでした。

f:id:Aoituki:20210926235741j:plain木道脇の背の高い草に隠れてなかなかみえなかったけど、いきなり開けて見晴到着!!今宵のお宿、尾瀬の定宿の弥四郎小屋に到着です。やったーー!歩ききれたぞ!

f:id:Aoituki:20210926235752j:plain宿へのチェックインより先に、まずは生ビールでしょ?

木陰を選んでベンチに腰掛け、外から喫茶に行って一杯800円の生中ふたつ注文。弥四郎小屋は喫茶が併設されていて美味しいコーヒーも飲めますが、我々を魅了してやまないのが、このジョッキまでキンキンに冷えて霜が降りてる生中です。

f:id:Aoituki:20210926235805j:plainくうぅぅぅ―――っ、旨い――――!尾瀬ヶ原に向けて叫びたくなるくらい旨いっ!沁みる!五臓六腑に染み渡る!!

f:id:Aoituki:20210926235818j:plain人生最高の一杯は、この弥四郎小屋に初めて泊まった時に飲んだ生ビールですが、その最高の一杯に並ぶ旨さでした。二杯目に行きたい気持ちを抑えて、これを飲み終わったらチェックイン。

f:id:Aoituki:20210926235843j:plain今日のお部屋は本館二階の角、ミズバショウです。コロナ対策で収容人数を抑えて運営しているため、個室料金が宿泊代金9,900円(一人分税込・2食付き)の他にひと部屋3,000円かかります。明日のお弁当900円をひとつだけ頼んで合計23,700円。山小屋はチェックイン時に全額支払うシステム。ほぼどこも現金のみです。

f:id:Aoituki:20210926235857j:plain今日のお部屋はお隣の山小屋、尾瀬小屋がわの角部屋、水芭蕉。10畳の和室です。

f:id:Aoituki:20210926235908j:plain平時であれば10畳もある部屋はグループに割り当てられ、我々二人組では小部屋がたくさんある別館に割り振られるんだろうけど、尾瀬ヶ原向きの角部屋で本当にラッキー。

f:id:Aoituki:20210926235921j:plain尾瀬ヶ原向きの部屋ということは、つまり、部屋の真正面の窓からは……

f:id:Aoituki:20210926235936j:plainおお!尾瀬ヶ原の湿原と至仏山が部屋から望めるわけで。夜晴れていれば星空も部屋から見れるロケーションはサイコー!

さて、部屋で荷物を解いたら支度して15:30からお風呂タイムです。お風呂場は別館一階にあります。大きな窓があるから湯船から尾瀬ヶ原を眺められる風呂で、密かに贅沢だなーと思っています。コロナ対策で一度に4名ずつの入浴の形式。

尾瀬の山小屋は水が豊富なことからどこもお風呂があります。環境保全の観点から、石鹸・シャンプーは使用禁止ですが。しかし、このコロナ流行で、弥四郎小屋も試験的にお風呂場に石鹸を導入したとのこと。……どんな石鹸かしら?たぶん固形で、環境に配慮した泡立ち悪い自然石鹸かしら?今まではお湯で髪をすすぎ身体を流して湯船に浸かるだけだったけれど、それでもリフレッシュできるし、石鹸が使えるだけでもありがたいわーとお風呂へ。ふつーにダブのボディシャンとメリットのリンスインシャンプーボトルが置いてありましたとさ。

山小屋でボディシャンで身体を洗えてシャンプーで髪も洗えるのはすごく嬉しい。行動中は全身大汗かいてるし、帽子で頭も蒸れて汗びっしょりだから。ウィルス対策だろうけど喜んで使わせて頂きました。

f:id:Aoituki:20210926235950j:plainお風呂上がり。風呂のある別館から出てきて、喫茶前のこの看板みたらたまらない。チェックイン前の到着ビールも一杯で我慢したし、風呂あがりの一杯、いっときますか。

17:30から夕食ですが、夕食時のアルコール提供はナシとのこと。お酒は自室か庭先でとチェックイン時に案内されています。

f:id:Aoituki:20210927000003j:plain喫茶のデッキで二杯目をいただきます。庭先ベンチよりも高い位置にあるので、ビールのみながら尾瀬ヶ原を眺められるのだ。

f:id:Aoituki:20210927000016j:plainでは、本日二杯目の湯上り生ビール、いただきまーす♪ああ、生ビール美味しい。考えてみれば下界でも久しく飲めてないもんなー。ここは福島県だから飲めるんだろうな。もしかしたら群馬側の山小屋では提供してないのかも。

生ビールを瞬殺の勢いで飲み干し、しばし湿原を眺めながらまったり。夕食までは時間があるので、一度部屋に引き上げて寝転がります。お風呂に入って、綺麗に洗った体で清潔な衣服に着替え、こんな山奥なのに生ビールでほろ酔いになり寝っ転がってまどろむ。山小屋泊での至福の時間だな。

f:id:Aoituki:20210927000027j:plainお風呂やご飯の時間は館内放送が流れます。うとうとしていたらしく《夕食の準備ができました》の放送で飛び起きます。一階食堂で夕御飯です。

晩御飯はトンカツ。味噌汁とおひつご飯。ナスの揚げ浸しにごま豆腐。人参のラペにメンマなどの炒め物。どれも美味しくておひつご飯もおかわり。

今日小屋に泊まっているのは我々含めて6組20名ほど。平時なら6人か8人掛けるテーブルに1組ずつで夕御飯です。20分ほどで食べ終わり、部屋から持ってきた荷物を持って暮れなずむ小屋前のベンチへ移動します。

今回の山旅の目的は、燧裏林道を初めて歩き、秋の尾瀬を堪能することですが、もうひとつ楽しみにしていることもあって。

f:id:Aoituki:20210930184232j:plainそれは、山で日本酒を楽しむこと。山専用の金属のお猪口で。昨年、燧裏林道を計画した際に揃えた、山用の金属お猪口。尾瀬で使うために買ったのに、結局去年は使えずにいました。

f:id:Aoituki:20210930184250j:plain金物で有名な新潟燕三条で作られた、銅に錫でコーティングしたお猪口は、熱伝導もよく、錫の口当たりも軽くて美味しく日本酒が飲める優れものです。 アウトドアショップのWILD-1で1500円で購入。

f:id:Aoituki:20210927000038j:plain弥四郎小屋には弥四郎清水という湧水の水場があります。キンキンに冷えた美味しい水で、二日目はいつもそれを行動用の水として飲みながら歩きます。その湧水に、着いたときに小さな日本酒を2本沈めて冷やしてありました。夕飯後にそれを引き上げて、持参の缶ツマのユッケコンビーフと缶詰のカニ味噌で一杯やる、それも今回の山旅の楽しみのひとつなのです。

ベンチに座った時には残照にうっすら見えていた至仏山も闇に消えたころ、折りたたみのランタンを灯しました。わりと近くでキューーーン、キュイと鹿が鳴き交わす声が聞こえて、ほろ酔いの頭にここが尾瀬だと実感させます。惜しむらくは夕方から雲が出てきて月が見えないこと。ちょうど先日に満月になったばかりの月齢、月が出ていればさぞかし綺麗に、月明かりに蒼く輝く湿原が見えたことだろう。今夜から朝方までは雨の予報だからしょうがない。月が出ていれば、お猪口に注いだ酒に月を映して、ぐいと『月を飲む』もやってみたかった。

お酒を飲み干し、部屋に戻り布団を敷いて電気を消してもまだ18:55。19時にさえなっていないwでも今日は疲れたから朝までぐっすり眠れそうです。おやすみなさい。

 

f:id:Aoituki:20210927000056j:plainおはよーございます。只今9/23の朝5:30。二日目の朝の始まりです。朝一で窓から見た尾瀬ヶ原は曇り。昨夜21:00ごろから結構激しい雨音がしていて。雨が残っていたらやだなあと思ってましたが、朝方には止んだ様子。至仏山側からは晴れ間も見えて来てたので今日も大丈夫でしょう!

f:id:Aoituki:20210927000110j:plain朝食は6:00から。昨日と同じ席でいただきます。朝から煮魚に卵焼きにサラダに、とろろにゼリーもついて豪華な朝食。ペロリと平らげました。美味しかった~。山小屋で食べるご飯って、なんでこんなに美味しんだろうと、毎回思います。

f:id:Aoituki:20210927000121j:plain支度を整え、弥四郎清水で今日の行動用の水をペットボトル3本とプラティパスに汲みます。昨日はここにネットに入れた日本酒を沈めて冷やしてました。

f:id:Aoituki:20210927000140j:plain昨日泊まった部屋はこの二階の角です。二面に窓があり、景色もよく風の抜ける涼しくて気持ちいい部屋でした。また来るよ弥四郎小屋!美味しい生ビールとご飯、気持ちいいお風呂と一夜の宿をどうもありがとう!

f:id:Aoituki:20210927000158j:plainさて、今日は尾瀬沼に向かいます。まずは見晴の山小屋地区の奥へ。弥四郎小屋の脇の道を奥へ向かいます。

f:id:Aoituki:20210927000208j:plainさよなら見晴、また来年来るよ!名残惜しく見晴の山小屋達を振り返ります。ここには色々なタイプの山小屋が6軒も建ってます。広大な尾瀬のど真ん中にある一大山小屋地区が見晴なのです。

f:id:Aoituki:20210927000220j:plainさて。今日はまずはゆるゆる燧の麓を歩いて白砂峠を越えて、尾瀬沼の端の沼尻に抜けます。そこから尾瀬沼北岸を歩いて尾瀬沼ビジターセンターや長蔵小屋のあるエリアへ。そこで弥四郎小屋のお弁当を食べて休憩してから、大江湿原を抜けて沼山峠を越え、沼山登山口へ下山するコースです。

f:id:Aoituki:20210927000232j:plain原の小屋と第二長蔵小屋の奥、ここが尾瀬沼に向かう登山道の入口です。

f:id:Aoituki:20210927000245j:plain最初は朝の木漏れ日の森をゆるゆる歩きます。昨夜の雨で木道は濡れていて、とても滑るので足元注意です。

f:id:Aoituki:20210927000257j:plainすぐに燧ヶ岳へ向かう見晴新道との分岐。尾瀬沼へは真っ直ぐ向かいます。

f:id:Aoituki:20210927000314j:plain木道をゆるゆる登るとイヨドマリ沢に出ます。

f:id:Aoituki:20210927000325j:plainとても綺麗な沢です。涼しいし、ここでしばらくじっと清流を眺めていたい。

f:id:Aoituki:20210927000336j:plainこの沢を渡ると段小屋坂です。坂といっても急坂ではなく、ゆるく長く登る感じでした。

f:id:Aoituki:20210927000350j:plainイヨドマリ沢、ここにはイワナが居そうだな。尾瀬は国立公園で誰も釣れないからか、魚影が濃いです。毛鉤投げたらすぐ食いそうだなー、大きいのが釣れそうだ。

f:id:Aoituki:20210927000404j:plain段小屋坂を歩いていくと、尾瀬らしからぬ岩ゴロの坂が現れました。白砂峠へ向けだんだん登りになるのかしら。長くはなく、ひと登りって感じです。

f:id:Aoituki:20210927000424j:plain登るとすぐに平坦になります。この先は左側が開けて景色が良かった。

f:id:Aoituki:20210927000442j:plain開けたポイントからは、下の方に滝がみえました。左手が尾瀬沼方面で、そこから流れ出る川が滝を作ってるのかな。それともこの流れが尾瀬沼にそそぐのか?

f:id:Aoituki:20210927000455j:plain出たな白砂峠!急登とあちこちに書いてあるから身構えていたけど、八ヶ岳を何度も歩いて岩ゴロには慣れていたせいか、そんなにきつくなく登れました。段差の低い階段や木道ばかりの尾瀬にしてみれば角度のきつい坂道だけどね。

f:id:Aoituki:20210927000507j:plain白砂峠を越えると白砂湿原に出ます。昨日の序盤の燧裏林道の田代みたいに、森を越えるといきなり前方が明るくなり、開けて湿原がみえるのは気持ちアガる――!

f:id:Aoituki:20210927000519j:plain池塘も出てきた!しかも結構大きい。

f:id:Aoituki:20210927000534j:plainやっぱり湿原には池塘だよねー。池塘は空を映して色が決まる。晴れた日は空の青を映して青く見えるから、やはり尾瀬を歩くなら快晴がいいなー。

f:id:Aoituki:20210927000547j:plain尾瀬沼に近づいたせいか、沢の幅が広がり小川に。そういえば、この川を尺超えたニジマス尾瀬沼から遡る動画をYouTubeで見たぞ。尾瀬沼は昭和の始めにニジマスが放流されていて、国定公園で誰も釣れないからその子孫がでかく育っているそうな。

f:id:Aoituki:20210927000559j:plain魚影を探すも見つからず。でも川底まで見える綺麗な流れは癒される。

f:id:Aoituki:20210927000610j:plain尾瀬沼の北岸の端、沼尻に出ました!湿原が広がり、湖畔には沼尻休憩所があります。尾瀬沼からのさわやかな風が吹き、開けて明るいいいところです。尾瀬沼の北岸エリアで実は一番好き。

f:id:Aoituki:20210927000625j:plain沼尻のここは尾瀬の木道の交差点。右が沼尻休憩所でその先更に右へいくと尾瀬沼南岸への道になる。真っ直ぐが尾瀬沼ビジターセンター方面。左へ行く道もあり、それは燧ヶ岳の登山道。

f:id:Aoituki:20210927000642j:plain今日も雲ひとつない晴天に感謝!青空に出っ張る、三角系のピークが燧ヶ岳の山頂。今日も燧がよく見える。

f:id:Aoituki:20210927000655j:plain沼尻休憩所、平時でなら人がいて、コーヒーやお菓子など売っています。有料のトイレもありますが、今季はコロナで閉鎖。それでも古くなったベンチに腰掛けて一休みします。座った低い目線で見る尾瀬沼も美しい。

沼尻休憩所は数年前に火事で消失し、右手にみえる高床式の新しい休憩所に生まれ変わりましたが、写真で人が座っている場所が火事で消失した休憩所の跡地です。

f:id:Aoituki:20210927000709j:plainパノラマでみるとこんな感じ。高床式のデッキには営業中ならパラソルが何本も並び、パラソル下にはベンチが設営されて、お弁当食べたりコーヒーを飲んだり尾瀬沼を見たりするハイカーたちで賑わう場所です。屋内にもベンチがあり、屋内と言っても窓ガラスはないから湖から吹き上げてくる風が気持ち良かった。疲れた体にご主人が淹れてくれたコーヒー(有料)も沁みて、人が少なかったから屋内ベンチでザック枕にちょっと横になった20分ほどが至福の休憩だったな。また是非、昼寝をしてみたい場所です。

f:id:Aoituki:20210927000721j:plain10分程休憩したら歩き出しますか。沼尻休憩所からの最後の尾瀬沼が青くて綺麗。やっぱり水場は晴れに限る、水が青く綺麗に見えるから。

f:id:Aoituki:20210927000735j:plain沼尻から歩き去る前に一箇所立ち寄ります。まずは燧ヶ岳への登山道にはいり、すぐに左折します。

f:id:Aoituki:20210927000757j:plainすると池塘がたくさん現れます。向こうの木道からはここは少し高くなっているので見えないんです。燧ヶ岳の登山道に入ってすぐ左折です。

f:id:Aoituki:20210927000813j:plainこのあたりは湿原も紅葉が進んでいたので、草もみじのアップ。遠くからはオレンジや茶色や金色にみえる湿原の紅葉は、アップでみるとこんな風になっています。

f:id:Aoituki:20210927000825j:plain見たかった景色その2は、この沼尻の湿原のヒツジグサの紅葉です。2~3年前に来た時も見事で感動したんだ。しかも、ヒツジグサの浮かぶ池塘の向こうに尾瀬沼という写真も撮れるビューポイント。沼尻休憩所のご主人が教えてくれました。

f:id:Aoituki:20210927000837j:plain池塘の中の紅葉は盛り。赤に黄色が美しい。ヒツジグサは睡蓮の仲間で、夏の尾瀬では昼頃に白い蓮のような形の花を水中から咲かせます。10時か12時ごろ、昔の未の刻に咲くからヒツジグサ

f:id:Aoituki:20211001223642j:plain秋の濃い青空を映して濃紺の池塘に、赤いグラデーションのヒツジグサの紅葉がまるでモミジの落ち葉の様に浮かび、湿原の草紅葉が金色の額縁のようにそれを取り囲む、この美しい尾瀬の秋景色を見たかったから満足!

f:id:Aoituki:20210927000901j:plain色が褪せてしまってるけどパノラマで。遠くに尾瀬沼の青まで見えて、すごく綺麗な景色なんです、ここ。今年は尾瀬での紅葉狩りが出来た、満足です。

f:id:Aoituki:20210927000914j:plain沼尻を離れ、尾瀬沼北岸をビジターセンターへ向かいます。尾瀬沼北岸は右手に尾瀬沼見ながら進むなだらかな木道。原生林の中をところどころに湿原が現れ、右手には常に沼の青さを見ながら歩けるご機嫌な道です。

f:id:Aoituki:20210927000927j:plainほら、急に森が開けて湿原が現れます。沼も加わったその美しさに立ち止まらずにはいられない。

f:id:Aoituki:20210927000942j:plainなんて綺麗で静かな景色なんだろう。カモが数羽、水際を泳いでいきます。空にはトンビが上昇気流に丸く舞い、秋の虫の声とカモの声、湖面を渡る風が木々を揺らす自然の音だけがする中、時々遠くに登山者の熊鈴がチリーンと聞こえる。程よい孤独感。

f:id:Aoituki:20210927000959j:plain遠くに、尾瀬沼の山小屋の建物が見えてきた。あともう少しで文明の世界へ。

f:id:Aoituki:20210927001013j:plain自然の中で人工物が見えると、己に属するものだとほっとするのは人の性。

f:id:Aoituki:20210927001028j:plain尾瀬沼のシンボル、三本松のある場所まで来ました。ビジターセンターはすぐそこです。三本松の周辺も綺麗に色づてきてました。三本松自体はカラマツだから黄色くなるのは一番最後だけど。

f:id:Aoituki:20210927001045j:plain三本松越しに見る尾瀬沼

f:id:Aoituki:20210927001100j:plain三本松の先は小さな橋です。すこし小高くなった橋の上から尾瀬沼を望みます。川にはアブラハヤがたくさん泳いでました。

f:id:Aoituki:20210927001113j:plain橋の上から反対側、大江湿原を見ます。ちょうど雲が出てきて、それが川の静かな水面に写りこんでとても綺麗でした。

f:id:Aoituki:20210927001128j:plainビジターセンター手前にリンドウの群生地がありました。葉っぱが赤く紅葉しているリンドウを見ると、山の秋だとしみじみ思う。

このあとは疲れ果てて写真撮り忘れてますが、長蔵小屋の裏手、休憩所の前にあるベンチでお昼ご飯。弥四郎小屋のおにぎり弁当を食べて一休み。朝汲んだ弥四郎清水は飲みきってしまったので、売店でペットボトルを買い、下山の為に沼山峠へ向かいます。f:id:Aoituki:20210927001141j:plain最後に、福島側の尾瀬の盟主・燧ヶ岳にご挨拶。綺麗にくっきり見えています。時間があれば尾瀬沼の長蔵小屋にもう一泊して、夕暮れの尾瀬沼なぞ見ながらまったりして、明日帰れたら楽しいだろうーなーと、後ろ髪引かれつつ尾瀬沼に背を向けます。

f:id:Aoituki:20210927001155j:plain沼山峠を降りるまであと3キロ。がんばろー。

f:id:Aoituki:20210927001211j:plainさよなら尾瀬沼、また来るよ!今んとこ二回秋に来てて、秋の顔しか知らないから、今度は春か夏に来たいな。

f:id:Aoituki:20210927001225j:plain大江湿原を奥の沼山峠に向かいます。ヤマドリゼンマイの赤茶けた紅葉が綺麗。いいアクセントになってる。

f:id:Aoituki:20210927001236j:plain振り返って尾瀬沼を望みます。

f:id:Aoituki:20210927001248j:plain綺麗だなー、雄大でよかったなー。次はどこを歩こうかな。尾瀬沼南岸はまだ未踏だし、大清水からもまだ入山していない。三条の滝も見てないし、鳩待峠からのアヤメ平も歩いてないな。帰り道に向かう前に、次にどこを歩こうか考え初めてしまう、これが尾瀬の魔力です。

f:id:Aoituki:20210927001301j:plain沼山峠入口まで来ると、尾瀬沼は木々に邪魔されて見えなくなるので、ぎりぎり見えるポイントで皆振り返って名残を惜しんでました。私らも遠くに光る尾瀬沼に名残を惜しみます。

f:id:Aoituki:20210927001313j:plainその最後の見返りポイントがここ小淵沢田代への分岐。今秋はこのあたりがツキノワグマの多発地帯らしく、クマよけの大きな鐘が設置され、注意書きがされてました。

f:id:Aoituki:20210927001324j:plainさて、沼山峠を登ります。このようなゆるい階段の登りなので、息を上げないよう注意すればそんなに苦しくなく登れます。

f:id:Aoituki:20210927001336j:plainシラタマノキの実がなってる。メントールみたいな味だそう。

f:id:Aoituki:20210927001345j:plain登りきった沼山峠展望台より。昔は木がなくて尾瀬沼が一望できたそうですが今は木が茂り、ちょっとだけ尾瀬沼が見えます。さよなら尾瀬沼。晴れてくれてありがとう!とても綺麗な景色が見れて満足だよー。

f:id:Aoituki:20210927001356j:plainオオカメノキの実も黒く熟してきてる。秋本番も近いです。

f:id:Aoituki:20210927001406j:plainやったー!沼山峠登山口に下山しました。二日で20キロ歩いた足はもうバキバキガチガチで、沼山峠の降りはガラスの膝裏が痛む苦行。だから写真少ないwf:id:Aoituki:20210927001416j:plain無事14:20ごろに下山し、14:30のバスで御池に戻ります。沼山峠休憩所から御池の間は一般車は立ち入り禁止。バスが00と30に往復しています。

沼山峠休憩所から20分ほど、14:50頃に車を停めた御池着。支度して檜枝岐村に降りて、15:30から燧の湯で汗を流し、16:45くらいに檜枝岐を出ました。毎度思うけど、檜枝岐村から東北道までが遠いんです。下道が長いのに食べる場所もないので、途中の村の酒屋で菓子パンを買い、空腹をしのぎつつ那須塩原インターから高速へ。上河内SAでやっとまともなご飯を食べて21:00に帰宅しました。

この日記を書いてる、一週間経った今思い返してもまるで昨日のように鮮明に思い起こせる、二日間の夢のような山旅でした。美しい景色、初めて歩く道に感動し、福島側の山深い尾瀬の側面を感じた二日間でした。

燧裏林道、燧ヶ岳の麓の原生林と、原生林の中に飛び石のように現れる湿原を楽しめる、とても良い道でした。尾瀬ヶ原側の賑やかさとは打って変わった、静かな尾瀬を楽しめます。

太古から続く本来の尾瀬の姿は、この原生林の静けさなのかも知れない、そう思わせるような道でした。木道のカーブの先に、いきなりすごいサイズの巨木がぬうっと出てくる。人里だと祀られるようなサイズでも、この山の中にはまだ沢山あるのだろう。たまたま木道を側に通したから我々が一部を目にできただけ。我々は尾瀬の本当の姿を常に一部だけ見せてもらっているんだなと折に触れて感じました。

我々人間はここでは非力で、自然のほうがルール。本当の手付かずな自然の中に身を置くと、人は底知れないものに対して畏怖を感じます。でも、それが正しいんだと思います。正しく自然を怖れて、程よい距離で長く付き合う、それが登山の楽しみ方のひとつ。福島側の尾瀬には、それがあるのです。………下道100キロは遠いけどw

尾瀬ヶ原の賑やかさや、ジーパンと街用スニーカーで来れる気楽さは、尾瀬の素晴らしさをまず感じて虜になってもらう尾瀬の入り口。やがて何度も尾瀬に通って慣れてきたら、今度は是非、福島側の山尾瀬も歩いて、更に尾瀬を深く体感していくのがいい尾瀬とのつきあい方かも。その頃にはジーパンで来ていた方も、ちゃんと山に畏怖を持って向き合い、山用装備や準備を整えてさらに楽しく歩いていくと思うから。