どんな人生にも雨の日はある。

登山初心者の山歩きの記録と日常。行ける山から少しずつ。

尾白川渓谷

f:id:Aoituki:20210611232632j:plain6/9水曜日。山梨にある尾白川渓谷を歩いてきました。

尾白川(おじらがわ)南アルプスの盟主、甲斐駒ケ岳に源を持つ清流で、日本の名水百選です。サントリー白州の仕込み水でもあるこの渓谷は、透明度の高さと翡翠のような緑色が有名。

緑濃き南アルプスの麓で、その緑を溶かしたような翡翠色の渓谷を見ながらの山歩きです。

 

AM2:30。暗闇の中鳴り響く目覚ましを止めながら切実に思う、まだ寝ていたい、と。

平日水、木休みが多いので、ここんとこ雨天曇天ばかり。今日は久々の休みの晴れ間、これは山へ行こうと金峰山を予定していました。

金峰山登山口の大弛峠へは自宅からは3時間はかかるし、圏央道経由の中央道は高速が高いから深夜割引の効く4:00前には乗りたいというオットの主張で、2:30起床がセッティングされてましたが、元々朝が弱く、前日までの仕事で疲れていた自分、起きられずに4:00起きを所望し二度寝zzz。

5:00出発で8:20に着いた大弛峠の駐車場は、奥の林道路肩も手前の林道路肩もすべて満車の賑わいでした……。

平日なのになんでこんなにたくさん?平日登山が主な我々は、いつもガラガラな駐車場と人っ子一人居ない山中ばかりなのに。さすが百名山金峰山、人気の山だからか。この時間(8:20台)では下山する人もそう居ないだろうから、駐車場も空かないだろうし、さて、どうしよ。

緊急家族会議が開かれ、だから2:30に起きろと……と糾弾するオットの声を右から左へ受け流しながらw脳内の登山資料を必死で漁る。たしか……南アルプスあたりに緑色の水の綺麗な渓谷があって登山道があったはず。サントリー白州工場もそばで、だから道の駅白州があって。道の駅白州は名水も汲めたよな。オットはウィスキー好きだし。――これだ。

『ねえ、ちょっと離れるけど尾白川渓谷っていう渓谷があって、渓谷沿いに登山道があるの。水も綺麗だし、これから移動して歩いても時間そうかからないから行ってみない?それに、サントリー白州のそばよ』

会議でのプレゼンは成功し、かくして尾白川渓谷にやってきたのでした♪

f:id:Aoituki:20210613165429j:plain尾白川渓谷駐車場はアスファルトの第一と砂利の第二まであり、100台は止めれます。綺麗な水洗のトイレあり。トイレの前にはシャワーヘッドの着いたホースがあり、靴洗い場と書いてあります。靴洗い場は地味に助かる~。トイレの向かいに売店もあります。

f:id:Aoituki:20210611232655j:plain周辺マップ確認中。甲斐駒ケ岳の麓に位置するので、駐車場へ向かう道すがら、フロントガラスには甲斐駒の勇姿がバーン。甲斐駒に登れる脚力はないけど、南アルプスの盟主に気分上がります。

f:id:Aoituki:20210611232705j:plainなるほど、ユネスコエコパークとな。南アルプス界隈は、私みたいな貧脚膝弱ハイカーにはお呼びでないだろうとほとんど来てなかったけど、探してみれば楽しめる場所がたくさんありそう。

f:id:Aoituki:20210611232715j:plainふむふむ。時間も遅いし、神蛇滝まで渓谷道で行って尾根道で帰ろう。それなら3~4時間だべ。

f:id:Aoituki:20210611232727j:plain尾白川渓谷は甲斐駒ケ岳の登山口でもあります。有名な日本アルプス三大急登、黒戸尾根登山口です。――そうか、だから靴洗い場があるのか。黒戸尾根の登山者向けか。

f:id:Aoituki:20210611232740j:plainそんな場所だから登山届必須。甲斐駒に登るわけではないけど、尾白川渓谷歩きも出してねと書いてあるので出していきました。

実は尾白川渓谷もなかなかハードで滑落とか多々ある場所だと後で知りました(登山道のあちこちに滑落死亡事故現場注意とかあった)

f:id:Aoituki:20210611232752j:plain登山届。現在はウェブや山系SNSで出だすのも多いけど、紙もまだまだ現役。行くコース、氏名と同行者、連絡先、車のナンバーなど記入します。

f:id:Aoituki:20210611232803j:plain金峰山から移動したので、登山としては遅い11:00に出発。15:00までに下山できるようにしよう。まずは緑の林道。この先に渓流沿いのキャンプ場もあるので、車も通れる道幅の林道です。

f:id:Aoituki:20210611232818j:plainここから山頂に白いビーチのある日向山へ行けます。矢立登山口にも駐車場あるけど数台しか止めれないから、市は尾白川渓谷駐車場を推奨しています。が、ここからコースタイムで1時間、けっこう登るよ、これ。

f:id:Aoituki:20210611232830j:plain尾白荘。山小屋かな?今は営業してないっぽい。この奥に神社があり、神社の裏手から渓谷へ入る吊り橋があります。

f:id:Aoituki:20210611232842j:plain渓谷入口の吊り橋。吊り橋の入口の幅が狭くて人一人分幅だけど、荷物をたくさん持っていたら通り抜けに難儀しそう。

f:id:Aoituki:20210611232857j:plain吊り橋は定員5名。ふたりだから同時にずかずか乗ったけどけっこう揺れた。

f:id:Aoituki:20210611232911j:plain吊り橋から下流を見る。おーー!なんていい渓相だ。そう深くなく、浅くもなく、居そうなポイントがたくさんあって、しかも遡上できそう。

ユネスコパークだから竿出しできないかと思ったけど、帰って調べたら竿出し可。この吊り橋が入退渓点として紹介されてました。釣れるのはヤマメ、アマゴ、イワナ。日釣り券は800円で、近所のコンビニで取り扱いしてるそうで――次は竿出す。

f:id:Aoituki:20210611232925j:plain吊り橋渡ってすぐ、右下の河原に降りるのが渓谷道の正規ルートの様子。このまま真っ直ぐ行くと尾根道になり、黒戸尾根登山口との分岐が出てきます。帰りはこの尾根道から戻ってきました。

f:id:Aoituki:20210611232936j:plainこの表示がないと見過ごして尾根道へ行くとこだった。

f:id:Aoituki:20210611232947j:plain河原はなんか岩が白くて、そこに緑のトンネルと青い空がすごい綺麗。大きな岩に寝転がるのも気持ちいいだろうな。そして白いのは花崗岩だな、これ(いちおー、鉱石も趣味)。

f:id:Aoituki:20210611233001j:plain白い石が多い川床を、うす緑の水が流れる。

f:id:Aoituki:20210611233016j:plain頭上の緑色を写したみたいな水が綺麗。渓流で冷やされた涼風が巻き起こるから、涼しくて気持ちの良い、いい道です。

f:id:Aoituki:20210611233030j:plain5分くらいで千ヶ淵に到着。おお!本当に水が緑色だー。緑の水というと濁った水のイメージだけど、ここの水は澄んだ緑色です。エメラルドグリーンと称されるそうですが、鉱石を趣味に持つものとして、エメラルドよりグリーンガーネットだし、水深による色の濃淡は翡翠だなと思いました。なので翡翠色と呼ばせてもらうw

この千ヶ淵までは駐車場から10分程度。一般客もらくらく来れるので、平日でしたがカップルや友人連れ、親子や犬の散歩など多数の方々がそぞろ歩いたり、水に足をつけたりして様々に渓谷を楽しんでました。釣竿持った子供たちも駆けて行ったりしてて、なんか、とてもいい雰囲気でした。市民の癒しの場所なんだろうな。

f:id:Aoituki:20210611233041j:plainパノラマで。ここも釣り可能です。竿を折るような大物が居るとか居ないとか。

f:id:Aoituki:20210611233056j:plain千ヶ淵から振り返る。渓谷と緑と青空。空の青さはもう夏だなー。

f:id:Aoituki:20210611233112j:plain千ヶ淵の左横から渓谷道へよじ登ります。上からみても淵は翡翠色が綺麗でした。さて、ここから先は登山装備必須。

f:id:Aoituki:20210611233125j:plainいきなりすごい階段が現れた!この先の道の険しさが思いやられるので、覚悟しながら登る。

f:id:Aoituki:20210611233137j:plain右手に滝が見えた。

f:id:Aoituki:20210611233150j:plainジグザグつづれ折れに登るー。渓谷沿いの道って、西沢渓谷とかもそうだけど結構登るんです。川沿いが大岩とか絶壁とかでそのままでは通れないところを巻いて尾根まで登り、また渓谷沿いに降りるの繰り返しだから。渓谷は涼しくて優雅そうにみえて、実は地味に体力を使う場所です。

f:id:Aoituki:20210611233205j:plainこんな感じの上り道はまだ道が広くて歩きやすいほう。写真撮る余裕がない後半はもっと狭くて片側切れ落ちてる箇所多数です。よって登山装備必須。

f:id:Aoituki:20210611233216j:plainでも、ところどころで渓流ビュースポットがあって目を楽しませてくれる。しかし、翡翠色だな。

f:id:Aoituki:20210611233232j:plainおお、濃淡が綺麗だ!でも、これは ウェーダー履いて釣り上がりたい渓相だな。居そうだし、釣れそう。

f:id:Aoituki:20210611233247j:plain山から染み出る清水のちいさな滝。オットが顔を洗って冷たいよ!と。

f:id:Aoituki:20210611233301j:plain清水は登山道を横切り足元を流れていく。この流れが尾白川に合流して翡翠の流れになっていくんだな。

f:id:Aoituki:20210611233334j:plain大きな岩のごろごろする渓谷ですが、その岩を抱き込んで育つ木のたくましさ。

f:id:Aoituki:20210611233345j:plain新緑の萌黄色から濃い緑の盛りに移り変わる季節で、陽光が葉っぱで濾されて、空気まで緑色に見える景色。聞こえるのは春蝉の控えめなシャワシャワとシジュウカラの声。癒されます。

f:id:Aoituki:20210611233356j:plain右を見れば川まで緑。翡翠色の川に翡翠色の森。そしてこのあたりは観光客もいないから、周囲に人は我々だけしかいません。熊鈴鳴らそう。

f:id:Aoituki:20210611233413j:plain三ノ滝に到着!ここは登山道からすぐに降りれて、平らな大岩が淵に張り出しているので岩に座って休憩するのにぴったりです。

f:id:Aoituki:20210611233436j:plain滝が巻き起こす風が気持ちイイーーー♪川の独特な匂いがする。ここも魚が居そうだなー。滝の右手前の大岩あたり、ルアーならここからキャストできそうだけど、水面から高さがあるから取り込みどうしようかと話しながら休憩w

f:id:Aoituki:20210611233452j:plain空も青くて雲ひとつないし、水は緑色で綺麗だし、新緑の山々も綺麗だし。この岩場、本当に気持ちよくて、ここで昼寝したくなるようないい場所でした。

f:id:Aoituki:20210611233506j:plain三ノ滝からすぐに旭滝の表示。周囲をうろうろしてみたけど、大きな岩が邪魔で滝は見えず。後で調べたら岩を回り込んで下へ降りないと見えないらしい。それらしき降りる道が見当たらなかったし、三ノ滝で満足したからいいやー。

f:id:Aoituki:20210611233525j:plainすぐそばに岩屋のような箇所有り。旭滝の表示に書いてあった、女行者の住んだ場所か??

f:id:Aoituki:20210611233538j:plainここからさらに道が険しくなり、山側に鎖が付き始めます。鎖に掴まり身体を引き上げるような段差がある場所も出てきます。

f:id:Aoituki:20210611233553j:plain百合ヶ淵に到着。グ…グドバ?全部濁点がつく名称?どういう意味だろう?気になって気になって、しばらくグドバグドバ言いながら歩いてましたwグっときてドってなってバだよ?

f:id:Aoituki:20210611233740j:plain百合ヶ淵。切り立った屏風岩の下なので上から眺めるだけですが、ここもやはり緑色です。尺超えた大物が居そう。

f:id:Aoituki:20210611233822j:plainさらにひと登り、ロープに掴まって岩と木の根の急登をよじ登るとこの神蛇滝の表示のある龍神平に出ます。今日の折り返し地点。

f:id:Aoituki:20210611233900j:plain神蛇滝。おー、釜が三段の大きなナメ滝、すごい!で、この滝を見ている場所は……↓

f:id:Aoituki:20210611233918j:plain神蛇滝の看板にも書いてある木の橋をわたったこの岩の上です。

f:id:Aoituki:20210611233934j:plain木の橋は1.5mほど。その先の岩の幅は人一人が立てるくらい。眼下は切り立った絶壁です。高所恐怖症ではないけれど、さすがに足裏とかムズムズするし、膝とかの力が抜けそう。木の橋も軋むし、写真だけ撮ってさっさか引き返します。おー、怖い怖い!

f:id:Aoituki:20210611233947j:plainこの龍神平から尾根道へ入り、黒戸尾根登山口入口まで戻ります。龍神平には注意書きがあって、今登ってきた渓谷道へこちらからは行けませんとのこと。歩いてきた渓谷道は一方通行です。

たしかにあの幅の狭い道は、前から来たらすれ違いできないし、登るならまだしもこちらから降りていくのは危険そう。ロープとか使うし。尾根道は写真のような、なだらかで岩のすくない歩きやすい道で、サクサクと1時間程度で吊り橋のところまで戻れました。

f:id:Aoituki:20210611234002j:plain行きに降りた場所から河原に降りておつかれさまー!

14:52分着、よし、目標の15:00までには下山できた。6月は15:00の渓谷でもまだ明るくていいな!

f:id:Aoituki:20210611234018j:plainお腹がすいたので遅い時間だけどここで昼メシにします。歩きながらパワージェルとか塩分補充とかはしたけど、まだご飯は食べてないから。

砂地にシートを引いて腰を降ろし、持参したコンビニおにぎりを食べる。汗をかいたから梅干がおいしい!尾白川渓谷は標高が1000m無い場所なのでけっこう暑くて、この日は大汗かきました。

f:id:Aoituki:20210611234049j:plainお湯を沸かしてカップヌードルを半分こ。渓流沿いのロケーションもいいし、歩いてお腹も空いてるからうまかった~!

f:id:Aoituki:20210611234101j:plain足元は白い砂。まるでビーチみたいです。花崗岩が風化して砂になったものなんだろうけど、砂地はお尻が痛くならなくていいわ。

f:id:Aoituki:20210611234115j:plain食べ終わって片付けたらご褒美タイム。敷物を川の側に近づけ、靴を脱ぎ靴下を脱いで裸足になり、デザート代わりの水遊び。

f:id:Aoituki:20210611234127j:plain水は10秒と足を浸け続けられない冷たさ!疲れて熱くなった足はすぐ冷えて、体の汗も引きます。サポートタイツ履いていたから足首までしか冷やせなかったけど、膝まで冷やせたらもっと良かったかもと、今回も最後の下り20分は膝裏が痛かったガラスの膝持ちは思った。

金峰山に登れなかったため、急遽代替え案で歩いた尾白川渓谷ですが、なかなかどうして。観光客も入る渓谷だしと思っていたらけっこうハードモード。距離的には3キロ程度の歩行距離ですが、倍くらい歩いたような体感です(なぜなら膝裏が痛くなるのは大体10キロ前後だから。それだけアップダウンがあるって事ですたい)。行きの渓谷道はけっこう登りますし、ちいさな下りもたくさん。鎖につかまる箇所も、ロープにつかまる箇所もありますし、道が崩れて片足程度の幅の場所も、人がひとり歩けるくらいの幅もたくさん。歩くなら登山靴が推奨です。

神蛇滝で折り返しの短い距離でしたが、短い距離に色々ぎゅっと詰まっているような道で飽きません。時間がないから短い距離で、でも歩きごたえも欲しい時にはピッタリなトレイルかも。

 

そして、どこまでいっても翡翠色の水は不思議。水や空が青く見えるのはレイリー散乱という仕組みで、太陽の光の波長を反射する極小の空気中や水中の粒子のせい。波長の短い青色が波長の長い赤色より多く散乱するから日中は空や水は青くなるし、夕焼けや朝焼けは観測者との間に存在する大気の距離が長いから赤色が届いて赤くなる。

で、この理屈で考えると、尾白川に含まれるなんらかの粒子が緑色を多く反射するから翡翠色に見えるのだろうけど、やっぱりここはファンタジックに、南アルプスの森の濃さを写して翡翠なんだと思うことにしました♪

 

 

オマケです。

f:id:Aoituki:20210611234138j:plain何度も欲しいなーと思って、でもまだてんから釣りは始めたばかりだしと考え、そうこうしてるうちに売り切れて、買おうという時にはいつもなくなってた小渓専用てんから竿『てんから源2.4m』。二度ほど買いたいと思うときに買い損ね、Amazonにアラート入れてました。

で、尾白川渓谷の駐車場トイレで入荷のアラート。このチャンス逃したら次にいつ入荷されるかわからないので速攻ポチりました。登山装備で靴ひも締めてこれから歩くぞって時に釣り竿ポチる……久々に『何やってんだワタシw』って思いましたが、その竿が手元に届きました。

f:id:Aoituki:20210613155939j:plain仕舞い寸法は先に持ってた3.0mとそう変わりませんが、短い分、細さはずいぶん変わります、軽さも。ブックマークしてる渓流テンカラ釣り師さんがこの竿をベタ褒めしてたのと、Amazonなどの口コミもかなり良くてずっと気になっていた竿です。

でも、てんからの教本だと竿は3.6m前後ってのが多くて、初心者だからまずは3m台を使ってみて、それから考えようと思って3.0mを先に購入してました。4回ほど竿を出して、なんとなく掴めたのと、毛鉤専門の釣り場にオットと二人で入るにはもう一本竿が欲しいなと思っての購入です。

 

 尾白川、次回来るなら今度は釣竿持って、吊り橋から入渓して釣りをしてみたいです。